大学でマスコミ論を教えています。中国のメディア統制について文章をまとめる必要があったときに、この本はとても参考になりました。このテーマに興味のある人が最初に手に取る本としては、同書はかなりおススメです。
何清漣の『中国の嘘』や焦国標の『中央宣伝部を討伐せよ』のように手厳しい告発調の作品も重要だと思いますが、中国に対して最初から特定の意図をもって構えて読むのではなく、実際に中国のメディアの世界で何がどのように行われているのかを知的好奇心から知りたい人は、このような丁寧で繊細な観察を積み重ねた本から読み始めることこそが大切だと思います。
重たい問題を軽いタッチの文体で書きながら、一般の人にも身近な感覚で読めるように仕上げているところ、それでいて重要なポイントもしっかりつかまえているところはかなり評価できるところだと思います。異なる世界に生きる隣人についての良質のエスノグラフィーの成果としても読める秀作だと思います。中国関連の面白いノンフィクション作品を読みたいと思っている人にもお薦めです。