ある日唐突に不思議な物体が視えるようになり、やがて同質のモノ、自らの「エゴ」を具象化する能力に目覚めた主人公。
「エゴ」は大勢いる能力者達の間では「プロキシ」とも呼ばれ、他の作品から見るなら「スタンド」や「ペルソナ」に近しい。ただしエゴ自体が直接的に可能なのは精神への介入のみ。
現実の人間関係で、当たり前に自己と他者・他者と他者のエゴがぶつかる様のメタファー、そしてその発展のごとく、一種の「超能力バトル」が展開されます。
エゴにも強さのランクがあり、相手のエゴに傷を与えただけ、自らのエゴは強くなってゆく。この法則ゆえに街ではエゴ能力者=プロキシユーザーがさながらMMORPGのような形で狩り合ったり、固定メンバーなり行きずりなりでチームを組んで各々の特性を活かした戦術を展開したり、こういった設定に酷く惹かれました。また、エゴの姿は非能力者には見えないまま精神に介入できるために、「悪用」する輩と「正義感」からそんな連中を「狩る」能力者も存在。
果たして、主人公は自らの「エゴ」をどこへ向けてゆくのか――
私はこの設定だけで本家は置いておき、二次創作したくなるだけの魅力を感じました。
正直シナリオは明らかに片手落ちなまま放置されてる要素があったり、重要そうでも背景がまるで補足されていないキャラがいたり、どのエンディングでも「?」と感じたり未完〓の感が強いです。これが最初はすごくもどかしくて、期待を裏切った「駄作」扱いしてましたが、後になってそのあたりが逆転現象を。不完全ゆえに余計「設定」を前面に引き出させる皮肉な結果になりました。
まだ先にいくらでも話を作れそうな、そんな感じですね。舞台は東京ですが、全国的にエゴ能力者が覚醒している描写もあるので、他の都市を舞台にもできますし。
キャラ萌えは皆無(あ、線路にいたあの子くらい……?)、背景画、特に夕暮れ時の美しさは一級品。音楽はバトルではトランス系、その他では落ち着いたジャズ系となかなか聞き応えのある曲揃い。
しかしここまで「設定だけ使ってみたい」まっさらな二次創作をしたいだけの「魅力的な素材」を提供してくれた作品は他にも数えるほどで、そういう意味での評価になります。
このゲーム――詰まるところシナリオそのものの評価は妄想補完できるか否かに左右され、人によってかなり異なると思われます。私なら★3くらい。
ちなみに、好きなキャラは眼鏡のオレンジ君。