いい本に出会った。現象学がインタビューという極めてミクロな空間でこうも機能するものかと驚いた。今年の3月の日本解放社会学会で著者の報告を聞き、興味を持って購読したのである。ライフヒストリーではなく、インタビュアーとの共同作業による物語の構築-ライフストーリーが社会学的に承認される方法であると確信した。それは多元的現実というシュッツによる現象学的社会学の命題とインタビューという質的社会調査法が見事にマッチしているからである。主にマイノリティーとのインタビューをリフレキシブに分析しながらライフストーリーとは何かを教えてくれる。理論好きな大学生や院生が優れたフィールドワーカーに変身する契機となる書ではなかろうか。本書はそれほどの厚みと実践性を備えた書である。社会学を実践したい方々にぜひ読んでいただきたい一書である。