麻生久美子演じる主人公は色々矛盾を抱えた女性です。
「オシャレな大人の女性向け」を標榜する雑誌を作りつつ、
自分はちょっとズレたセンスの服を着て街を闊歩し、
「見えない物は信じない」と言い切りながら、
古い折れ釘に拘泥してみたり、黒猫の置物の呪いを気にしていたりする。
そしてそんな一貫性のなさからか「ジリ貧人生」に陥ってゆきます。
でも、何故かそんな彼女に親しみを感じずにいられなかった私。
思うに、誰だって理想と現実のギャップに悩んでいると思うのです。
今理想的でない自分も「それは理想へ向かってゆく課程だから」と
言い訳をしてみつつ、理想の自分がいつ現れるか、自分でも信じられなかったりする。
この映画における「見えないものを信じてみることも大事」というフレーズは、
「将来の自分を信じる」ということに通じていると思うのです。
そこに通じる確かな道筋が見えず色々な自己矛盾に陥ってしまうぐらいであれば、
思い切って自分を解放し、こだわりなど捨ててしまえ。
「蛇口を開けろ!」
から始まる本作の疾走感は、まさに主人公の自己解放の姿の爽快さによるものだと思います。
ギャグや間が微妙だったり気になるところは多々ありますが、
途中からどうでもよくなりました。
上がりすぎのテンションもアリエナイ展開も、まとめ過ぎな感じのラストも許せてしまうのは、
全てを捨てて出直す彼女の爽快な姿あったればこそ。
ナンセンス映画と唾棄するものではありません。
得がたい共感をもたらしてくれる一本でした。