何だか「ツァラトゥストゥラかく語りき」のような題名だが、ラーメン王安藤百福が自身の哲学を語った情熱の書である。浅間山荘事件が起きた時、私は高校生だった。その時、山荘を取り囲んだ警察隊が常食としていたのがカップヌードル。理由はお湯さえあれば簡単に作れて、しかも体が温まるというものだった。これが口コミで広がり、カップヌードルは一躍ヒット商品となった。何が幸いするか分からない。今や、カップヌードルは世界中で愛食されている。これを安藤氏は「人類は麺類」と言い放つ。
カップヌードルを開発する際、安藤氏はエビを入れる事に拘ったと言う。日本人のエビ好きを見越してである。そして、氏の開発の基本コンセプトは「私はラーメンを売っているのではない。お客様に"時間"を提供しているのである」。だが勿論、上述の通り味も大切にしているのは言うまでもない。「Time is money」という言葉は英語にもあるが、これを徹底させ、更に質も落とさないというのが信条である。
机上の論では無く、長年の汗と努力の結集で即席麺を世界に広めた人の言葉だけに重みがある。即席麺の発想に辿り付くまでだけで48年間掛かったと言う。まさに即席ラーメン道を極めた麺男が語る箴言の書。