それまで数々のTVドラマ、CMに出演してきたイ・ヨンエが女優として変身を遂げる為に1996年に初出演をした映画。大掛かりな海外ロケ、英語、仏語、アラビア語の台詞、さらに濃厚なラブシーンに果敢に挑戦したのにもかかわらず、期待した程の評価は得られなかったという作品です。
長年に亘る内乱状態のアルジェリアを舞台に、そこに彼女だけが取り残された経緯や、何故北朝鮮兵士が、など解り難い設定で話は始まり、前半は『イ・ヨンエと歩くアフリカ紀行』といった印象。若い彼女は美しく初々しいけれど、アフリカの強い陽射しや乾いた風土を背景にすると、十分魅力が発揮出来ていないように感じます。
後半、チェ・ミンス扮する北朝鮮将校と共に国外脱出しようとするあたりから物語は動き出し、見応えのある展開になっていきます。限りなく続く砂漠の風紋の美しさ、沈み行く夕日の鮮やかさ。死を覚悟した逃避行の果てに待ち受けているものは....。
チェ・ミンスは堂々とした存在感のあるハン・スンヨプを演じていましたし、二人が互いに惹かれ合っていく過程をもう少し繊細に描いていたら、感動的な恋愛劇になっていたと思います。
そして、イ・ヨンエのラストシーンにおける颯爽とした姿が映画女優として認められることになる次回作「JSA」のヒロイン像に繋がっているとしたら、この作品がある意味出発点ということになるのかもしれません。