「インサイドマン」はクライムサスペンスとしてとても完成された隙の無い映画だと思います。ちりばめられたヒントを見逃していると、ラストのカタルシスは減ってしまう為、集中力を要する映画かもしれません。
ストーリーは、ある銀行に強盗として押し入り、立てこもった犯人グループと警察側交渉人たちとの行き詰るやり取りを軸として、そこに銀行オーナー、頭の切れる弁護士、など裏がありそうな人物たちがそれぞれの隠された思惑や利益のために絡んでくるというものです。リアルタイムに事件が経過していく中で、事件後の取り締まりシーンが挿入される為、観ているほうも混乱しますが、謎が解けた時の爽快感を考えると、この構成はやむを得ないかと思います。タイトルの「インサイドマン」も含めて映画全体がトリッキーな作りなんですね。
豪華な俳優陣や、大胆不敵な脱出方法、都会的な冷たさがスタイリッシュな映像と、どれをとっても素晴らしいです。
ただしこの映画のキーの一つである「人種の問題」は、日本人にとっては若干わかりにくいかもしれません。登場人物たちの何気ない会話や、行動にもしっかりとこのテーマが刷り込まれています。特に事件の背後にある「動機」に納得するためには、我々日本人はあまりにもこの手の問題に無頓着かもしれません。