主人公が、建物を出て行く瞬間。An outsider is getting out of ‘the inside’. でした。
『狼たちの午後』や『ゴッドファーザー PartI』を観たあとに『セントオブウーマン』やこの『インサイダー』を観ると、アル・パチーノというひとのきわめて職人的な、長く、かつ確かな、俳優としての道のりを思わずにいられません。この映画は何と言っても、アル・パチーノなくして成り立たないと言って良いのでは。
ストーリーはシンプルです。実話を敷いていること、昨今風当たりの強いタバコ産業との闘いであること、さらにマスコミというこれもまた巨大なインサイド領域を擁する業界が随所に絡むこと、という並べ方をすれば、エンターテインメントとして十二分に魅力ある作品だと思います。逆にその辺りが、もう少し深く切り込んでも良いのに、とちらりと感じさせる向きもあるかな、とも思われます。どことなしに消化不十分の感は、正直否めませんでした。冒頭の‘危険のつきまとう取材’を見せたいらしいシーンは、個人的にはちょっと、虚仮威し的だし、必要なのかな、などと思ってみたり。そういう場面はちょくちょくあったと感じます。
にしても。何しろアル・パチーノです。特に彼のファンという訳ではないですが、ニュートラルに見てもこの作品は彼のマイルストーンのひとつだろうと思います。細かなアラは脇に置いて、楽しんで観て欲しいと思います。