重箱風の弁当箱を十字に仕切り、ご飯とおかずを4つの部分配分して盛り付けられた、松花堂弁当みたいな創りの映画です。本膳料理の幕の内ではなく、茶の湯の流れを汲む懐石料理ですので、お腹いっぱいにはならないかもしれません。
各章にタランティーノの小さなこだわりがちりばめられています。
フランスの田園地帯のバックでジョン・ウェイン主演のウエスタン、「アラモ」のテーマがいきなり流れてきて、バスターズのやることはインディアンの頭の皮剥ぎだったり、ショーシャナの映画館でやっていたのが、ナチの宣伝映画「民族の祭典」等を撮った巨匠レニ・リーフェンシュタールの女優だった頃の映画だったりします。戦前、戦中のドイツ映画の小ネタまであります。特に、ナチの宣伝相ゲッペルスのアンチ・ハリウッドがアンチ・ユダヤにつながるというのがちょっと面白い話です。
バスターズのほとんどはあっけなく死んじゃったりします。何気にロバート・アルドリッチの「特攻大作戦」の特殊部隊に似ています。
アメリカ映画でこれだけドイツ語が聞けるというのも貴重です。
配役もいいです。俳優陣も個性的で味があります。特にクリストフ・ヴァルツのナチ将校は見ものです。映画では久しぶりの、いかにも憎たらしいナチ将校です。実在感のあるキャラクターに囲まれて、何気にブラッド・ピットが浮いています。これもタランティーノの狙いかもしれない。大事なところで、「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズを出すなんて確信犯的ですね。史実のことを考えることを止めました。
ちょっと、物足りないところが、いかにも松花堂弁当的です。