シエサが9年の歳月を費やして完成した「ペルー記」の第一部を全訳したもの。
(ちなみに、「ペルー記」は全四部構成で、第二部は「インカ帝国史」として岩波文庫に収録済み)
まずはコロンビア、エクアドル、ボリビア一帯について書かれており、そこに住むインディオたちへの嫌悪感、蔑視を隠すことなく表している。とりわけシエサが嫌悪していたのが人肉を食べる習慣で、「神が自らの手で彼らを罰する事を望まれ、行われていたことをお許しになったのである」と、インディオを征服し虐殺したことを是としている。
しかし、これもインカに足を踏み入れると一変。シエサが足を踏み入れたときには既に滅ぼされた文明社会の残滓ではあったが、自分たちと比べて勝るとも劣らない文化・文明があったことへの驚嘆と賞賛へと変わって行く。インカを知りたい、復元したいという願望が彼にベルー記を書かせる原動力となった。
そして、彼はこう書く。「私はエスパニャ人たちがこれらインディオたちに加えた圧迫、殺戮、虐殺を承認しない。エスパニャ人たちはこの民族の非常な美徳と気高さを見ることなく、彼らを残虐に扱ったのである」
本が出版された翌年、シエサは36歳で死去する。