図書出版社から出されていた「海外旅行選書」の1冊。南米の旅行記はそれほど珍しくもないが、著者のキャリアに特徴がある。著者は、ケンブリッジで学位をとり、米国エール大学大学院で学んだ後、イギリス外務省の高級官僚を経て政治家に転身し、サッチャー政権下で保守党上院議員を7年も務めた「保守派エスタブリッシュメント」。と言っても、議員在職中は人権問題などで活躍した人だけに、経済・政治ともに問題の多い南米を旅しても、人びとの貧しさ、暗さ、明るさ、逞しさといったところをちゃんと見ている。
著者と同行者たちは、巨大な石油タンクローリーがちょっと停車している間に乗り込み、タンクローリーの目的地まで同乗するなど、どんどん旅慣れてゆく。経済的に下層の人たちと数多く接触し、ペルーなどの国々の実態に触れていく。
研修旅行という名の大名旅行をして、つまらない報告書しか書けない、どこかの国の議員さん(国会議員だけではないです)と違って、初めての著書で、こういった紀行を、しかも40歳の時に書いてしまう議員がいる、イギリスという国のすごさを改めて感じてしまう。
ちなみにタイトルにある“インカコーラ”とは、ペルーの国産コーラのこと。国民にもっとも親しまれている飲み物である。