さっくり一日で読みきれる本でありながら、人間の生と死や苦悩について哲学できる良書。死の間際で今までの人生が空虚なものと感じてしまう主人公であるが、果たして意味ある人生とは?宗教が救いになるのか?意味とは解釈にすぎず今までの自分の生をありのまま肯定することはできないのか?いろいろと深く考えさせられます。
主人公は家庭人としても立派であり、社会的地位は高いものの、その為に自己の内面についてはあまり関心を払う暇がなく、トルストイの諸作品に出てくるような信仰心厚い人物や虚無主義者というわけでもない平凡な性格な人物です。それ故、主人公を使って思想を押し付けるという感じが無く、ふと本を読むのをやめて自分ならどうだろうと考えに耽っています。
死の瞬間もとても哲学的です。安易に宗教を持ち出さずに、うまくいってると思います。内容は読んでのお楽しみです。私はどちらかというと懐疑論や不可知論者ですが何か救われた感じがしました。