「イルマーレ」という映画は、時間のはかなさを教えてくれるものでした。時間が、ウンジュ、ソンヒョンの間で進んでいるのか、それとも戻っているのか。私たちは、映画を、はじめどちらが過去で未来なのかと混乱してしまいますが、実はどちらも同じ「現在」であることに気づきます。みている人は、だんだんとその混乱が修正されて時間が一致していくことを感じます。最後の「これから、長い長い物語を話します。それはまるで夢のようなお話です。聞いてくれますか、そしてあなたは、信じてくれますか」というソンヒョンの言葉は、これから私たちがスクリーンでみていた「過去」の出来事とどういうつながりをもつのか、という期待と不安があります。私たちは、あらためて二人の「将来」を考えるとウンジュはその話を信じると思うでしょう。私たちの生活の根幹にある時間を感じつつ、ようやく出逢った二人にいままでスクリーンで私たちがみていた二人の「過去」のことを話したいという錯覚を覚えます。
さて、このノベライズですが、映画で取り上げなかったシーンがいくつかあり、たとえば、ソンヒョンの父が、古道具屋でバイトしていたウンジュと会っていたりしています。
こういった映画になかったシーンがありますが、まず映画をみてウンジュやソンヒョンの声を聞くべきです。あくまでノベライズは、映画を補完するものでしょう。