このテーマの本は、ややもすると感情論になったり、
ひたすら「鯨文化」の蘊蓄を語ったり……というものになりがちだった。
その中でこの本は、非常にバランスが取れている。
それは著者が太地町に何年も滞在し、
漁師さんたちと一緒に「追い込み漁」を体験し、
その結果、「体」で感じたことが、
決して感情的ではなく「ルポルタージュ」の形で書かれているからだと思う。
しかも、それでもきちんと「クジラ漁への愛」のようなものが感じられる。
何冊かある「クジラ漁」関連の新書の中でも、
1冊目に読む本としても、適当だと思う。
「捕鯨は文化だ」と言い過ぎてもいないし、
しかしちゃんと納得させられる一冊だと思う。
「論」を展開するのではなく、フィールドワークの結果を
地道にルポした点は、大いに評価したいと思います。