「イルカの日」で思い出されるのは、何よりもジョルジュ・ドルリューによる美しくも悲しみに満ちたメイン・テーマだ。
この映画、まずは早川書房刊行の原作を読んでから、名画座で観た憶えがあるのだが、イルカの生態を詳細に追い、科学的な根拠を提示した上で、それを軍事目的に利用するというSFマインドにポリティカル・サスペンスの要素が強かった小説に比べ、映画は、人間とイルカの異種生物コミュニケーションを通して、愛、信頼、共生、自然、そして良心について重きを置いていたような気がする。
そんな作品テーマをアシストし、観る者に癒しの余韻を与えていたのがドルリューの音楽だったと思う。離れていくイルカを見つめるジョージ・C・スコットの沈痛な表情に被るメイン・テーマ、気骨の塊スコットが演じていただけに、余計心が掻き乱されたし、今も脳裏をよぎる。トリュフォー映画の名作曲家であったドルリューだが、作品的には今スコアが最も印象深い。
そして、「センチュリアン」、「ラスト・ラン」、「激怒」と、一般的には殆ど知られていないが、渋〜い傑作に当時主演していたスコット、ビジネスにはなり難いだろうが、これらの作品をDVD化してくれるような奇特なメーカーさんはいないだろうか。