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イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫)
 
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イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫) [文庫]

川端 裕人
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫) + イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記 (光文社新書)
合計価格: ¥ 1,617

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

野生イルカの保護を主張する人や、スピリチュアルな存在として心の癒しを求める人がいる一方で、イルカ漁を生業としてその肉を食べる人もいる。はたしてこれは野蛮な行いなのか、それとも尊重すべき文化なのか。とかく価値観の押し付けになりがちなこの話題に自然体で向き合い、世界各地をめぐってさまざまな人たちと語らう中で見えてきた人間とイルカの関係とは。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

川端 裕人
1964年兵庫県生まれ、千葉県育ち。東京大学教養学部(科学史専攻)卒、日本テレビ入社。科学技術庁、気象庁などの担当記者として、宇宙開発、海洋科学、自然災害などの報道に関わる。97年に退社し、独立。小説やノンフィクションの執筆を中心に活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/8/9)
  • ISBN-10: 4480427449
  • ISBN-13: 978-4480427441
  • 発売日: 2010/8/9
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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By hamachobi トップ500レビュアー VINE™ メンバー
存在は知っていたけれど、著者の作品はフィクション中心に読んでいたため読んでいなかった『イルカとぼくらの微妙な関係』。今回、改題し、文庫化されたのを機会に読んでみた。

元の本は1997年8月に出版されたため、ちょっと古いが、本文中のデータについては2010年のデータが併記されていたり、著者による「文庫版のための少し長いあとがき」が加えられているため、内容は古くない。むしろ、『The Cove』という近年公開された和歌山県太地町のイルカの追い込み漁を描いたドキュメント映画が話題になった今(2009年のアカデミー賞ドキュメンタリー映画賞受賞)、読むべき本だ。

特に、その映画を踏まえて書かれた「文庫版のための少し長いあとがき」は、なぜあの映画が世界的に話題になったのかを知るためのいい参考文献だと思う。あの映画が物議をかもした時、私自身は観ていないにも関わらず、単純な動物愛護、野生動物保護対日本の伝統的な漁、食習慣という図式でしか考えられなかったが、この本を読むと、そんな単純なものではないことに気付かされる。

本編に含まれる12編の文章でも、その点については、著者はところどころ触れていいるのだが、このあとがきは、きれいに整理されていて、問題の背景がよく理解できた。特に、この問題を整理した人間中心か非・人間中心かと自然・生態系全体の保全志向か個体志向か、という二軸のマトリクスで分析したところは非常に分かりやすい。マスメディアでもこういう整理がされていれば、もっと有益な議論ができただろうにと思う。

あとがきの話ばかりになってしまったが、映画『グラン・ブルー』以後、イルカに魅せられている自分にとっては、世界中に生きるイルカの仲間たちとの交流が描かれた本編も、とても読み応えなあるものだった。

著者は、イルカ好きにも関わらず、単純に野生イルカ保護を声高に主張するのではなく、科学ジャーナリストらしく、偏りのない目でイルカ漁の実態、それが日本の特定地域の伝統であるのか、生業としての漁の意味があるのかを、調査分析し、さらには、イルカの保護の問題点にも触れ、著者の立場を主張しているところに好感が持てる。

単行本を持っている人もこの文庫版をすすめたい。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 放蕩息子 VINE™ メンバー
「イルカ好き」の一方、そのイルカへの過剰な思い入れから意識的に距離を置く著者が、イルカと人間との様々な関係を取材して回った労作。特定の立場に偏らぬよう、筆遣いはあくまでも慎重だが、実は私は本書を読んで改めて、「著者はイルカが好きなんだなあ…。」とも感じた。

同じ「イルカ本」でありながら、色々な意味で、本書の1ヶ月前に上梓された光文社新書『イルカを食べちゃダメですか?』とは好対照な本である。元々から「イルカ好き」だった著者が、イルカを追いかけるうちに「イルカに関わる人間」の方に目を向けて、世界中の様々な場所をほぼ同時期に見て回った結果として生まれた本書と、元々はイルカの行動観察が仕事の研究者が、何時の間にかイルカを追いかける漁師さんたちを好きになった挙句、同じ場所に20年以上も通い続けて書かれた『イルカを食べちゃダメですか?』。二冊を比べて読めば、我々は、このイルカという野生動物を巡る人間同士の不思議な対立について、ますます広い視野を得ることが出来るだろう。

ちなみに、私が個人的に一番共感したのは、ドルフィンスイムのガイドをしつつ、「どうしてイルカってあんなに人気あるのかね。」と疑問を抱いてしまう御蔵島の漁師さんの言葉である。ウォッチングツアーにも参加し、野生のイルカと泳いだ経験も持つ一方で、イルカそのものには他の動植物と同じ、単なる野生生物の一つとして以上の価値を見出せない私には、実に腑に落ちる話だった。イルカに何か特別な価値があると思うのは、むしろイルカ自身とは関わりない、人間のエゴに過ぎないのだろう。本書の取材は既に15年近く前のことなので、現在の御蔵島の人々がどう考えているのか、ぜひ追加取材が欲しいと思った。

しかし末尾、「文庫版のための少し長いあとがき」で著者が示した4象限のマトリクスには、私は個人的には異議を唱えたい。縦軸をなす「自然・生態系全体の保全志向」と「個体志向」との間に、「特定種(例えば「イルカ」とか「クジラ」とか)の保全志向」というレベルが抜けていると思うからだ。そして実は、私の見る限り、日本と海外とを問わず、現在の野生動物保護活動の多くは「生態系全体」まで至らずに、「特定種中心」のレベルに止まっているところに問題がある。要するに(建前はどうあれ本音では)生物多様性の視点を欠いて、「(自分にとって特別な価値や関心のある)特定の種」ばかりに意識が集中してしまうところが問題なので、そこを跳び越してしまう著者の分類は、却ってミスリードになるのではないだろうか。その点を考慮して、星ひとつ減点したい。
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本書は、鯨類好きでドルフィン・スイムやホエール・ウオッチング、その自然な棲息の姿を眺めるのが好きだけど、食べることもアリとする、矛盾しているようだがおそらくかなり平均的な日本のイルカ・クジラ好きのありようを、オツムがいいもので深く思考もした、『普通の人』の最良のレポート&エッセイである。

最良というのはお世辞ではなく、ニュートラルな立ち位置から捕鯨・イルカ漁問題や『ガイア教のイルカ信仰』を俯瞰的に考えてみたいとおもう人には、まず本書を最初に読むことを薦める。

本書には、世界と日本の12の地域のイルカ・鯨との多様な関わり方が紹介されている。そのいずれも著者が実際に出向いて、そこでイルカ・鯨と出会い、一緒に泳いだり触れたりし、同時にそこでイルカ・鯨を飼育する人・捕殺する人とも出会い、会話をした記録である。場合によってはイルカ・鯨を食べたりもしている。今の時代に普通の人がイルカ・鯨と関われる回路のフルコースを辿って、平易な偏りのない言葉でそれらについて説明し、どう感じたか・考えたかを語り、歴史的な情報などもきちんと調べて整理して併記している。

5章の「ケイトの青春」は、SSのワトソンが言及していた壱岐島のイルカ解放事件についてで、6章の「フリッパー問題、とんがる」は、リック・オバリーが登場して、『The Cove』にいたる前夜の言動が捉えられている。文庫版あとがきには、今のイルカ漁問題について著者の立場を反映した解説があって、なかなか生々しい。まあともかく今あるイルカを巡る問題のすべてを網羅しているので、必読文献に入れていいんじゃないかな。
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