著者を含む取材スタッフは、現代文明に一度も接したことのないアマゾン奥地のインディオについてのテレビ番組を企画していた。免疫のない彼らは現代人(文明)と接することで、病気や悪弊などをうつされて死亡したり、その共同体が崩壊したりしていた。ブラジル政府職員のポスエロ氏は、そんな彼らを救おうとしている人物で、スタッフはまず彼に会うことにした。
「イルカ記」では、そのポスエロ氏との交流を軸として、インディオたちの置かれた状況を解説している。折にふれ描かれるジャングルの風景や地元の人々との会話が、切迫した事態をふわりと和ませてくれる。
続く「墜落記」は予兆めいた雰囲気で始まる。再び本格的な取材にブラジルへ出発する著者は、その直前に向田邦子の追悼会に出席するが、そのあとである胸騒ぎをおぼえる。そしてそれを裏づけるかのように、米同時多発テロによって取材日程は大きく狂い、著者は「虫の知らせ」をより強く感じていく。やがて、その胸騒ぎは現実のものとなってしまうのだが。
驚くのは事故の後、「墜落は私の人生に何の変化ももたらさなかった」と著者が言っていることだ。九死に一生を得たにもかかわらず、その体験に平然としていられる精神の強靭さにあらためて感心してしまう。(文月 達) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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沢木耕太郎さんの著作は、”一瞬の夏”に始まり、”バーボンストリート”でハマり、”深夜特急”で感化されて以来、愛読書です。(なにせ深夜特急を読んだことが、海外をうろうろするきっかけでしたから)
しかし本書については、ご自身に起きた類まれな出来事が主題となっているためか、何か深さを感じない作品でした。 もしかすると著者にとっては、まだ現在進行中の出来事であり、作品として”前編”なのかも知れないと感じました。<!BR!> この続き(というより、時間を経てからの筆者自身による検証)に期待したいと思いました。
墜落記を読んで,沢木氏ならばダントツで合格したに違いない,と何故かこの話を思い出してしまった。
さほど熱心な「沢木ファン」でもない私は,'01年のクリスマスイブ,氏がDJを務めるFM深夜放送で,この墜落の事実を知った。
飛行機を見ること,飛行機に乗ることが大好きな私には興味津々の話題。出版を心待ちにしていた。
なかなか読むチャンスがなかったが,海外出張への機上,機内で読むにはいささか不謹慎なタイトルで客室常務員諸氏の目にとまっていれば問題だったかもしれないが,一気に読み終えた。
淡々と書いているようだが,綿密に構成された文章など,氏ならではのもの。また,「旅」への姿勢があらゆるところで感じられるが,あとがきの初めの数行に,氏の「旅」への思いが凝縮されていると思う。
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