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イランはこれからどうなるのか―「イスラム大国」の真実 (新潮新書)
 
 

イランはこれからどうなるのか―「イスラム大国」の真実 (新潮新書) [新書]

春日 孝之
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

今、イランから目が離せない。核開発、大統領選開票不正疑惑、欧米やイスラエルに対する過激発言など、中東発のニュースを独占している。その非妥協的精神と高いプライドゆえ、国際社会から孤立しつつも、再建途上のイラクやアフガンを尻目にその存在感は高まるばかり。しかし、いまだこの国の実像は不透明なヴェールに包まれている。核開発の本当の理由、ペルシャ民族主義とその野望、アラブへの嫉妬と憎悪、アメリカへの秘めた想いなど、特派員としての取材経験をもとに「中東の大国」の本音に迫る。

内容(「BOOK」データベースより)

今、イランから目が離せない。核開発、開票不正疑惑、大統領の過激発言など、中東発のニュースを独占している。その非妥協的な態度ゆえに、国際社会から孤立しつつも、再建途上のイラクやアフガンを尻目に存在感は増すばかり。しかし、その実像はいまだ不透明なベールに包まれている。核開発の本当の理由、アラブへの近親憎悪、米国への秘めた想いなど、特派員としての取材経験をもとに「中東の大国」の本音に迫る。

登録情報

  • 新書: 239ページ
  • 出版社: 新潮社 (2010/09)
  • ISBN-10: 4106103842
  • ISBN-13: 978-4106103841
  • 発売日: 2010/09
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mfhty トップ500レビュアー VINE™ メンバー
 私にとって、イランは、(a) 核兵器開発疑惑がある、(b) 大統領がしばしば過激な発言をする、(c) ブッシュ前米大統領が「悪の枢軸」と言っていた、(d) イスラム政権のミステリアスな国、という感じで、何かと問題のある不思議な国のイメージがありました。
 本書は、そのイランに2005年11月から2009年12月まで毎日新聞テヘラン支局長として赴任していた著者によって書かれた本です。おおむねイランという国やイランの人々を好意的な視点から記述しています。

 本書には、次のようなやや意外なイランの姿が書かれています。
(a) 厳格なイスラムの国というイメージとはうらはらに、夜には頻繁にアルコールもあるパーティが開かれて皆楽しんでいる。
(b) イスラム革命当時は尊敬を集めたイスラム聖職者であるが、本来の厳格さを失う者もでている。そのため、民衆は聖職者を尊敬しなくなり、聖職者の政治面で果たす役割も小さくなりつつなる。
(c) イラン人は自らをヨーロッパ人と同じ「白人」と認識しており、イラン人のほうがアラブ人より優れていると考えている。アラブ人が多い中東にあって、イランは孤立した立場にあり、孤立しているという面ではイスラエルと似た境遇にある。
(d) イラン人はアメリカにシンパシーを持っている。最近は革命当時のような激しいアメリカ批判は少なくなり、むしろアメリカとの関係修復を望んでいる、

 このほかにもイランのさまざまな側面が記述されています。いずれも、現地で暮らしてみなければわからないイランの素顔であり、とても興味深い本と思います。
 さまざまな面をもつイランのこと。本書に書かれていることが100%当たっているかどうかわかりませんが、報道等ではイランに関してマイナス面ばかり伝えられる中で、新たな視点を提供してくれる貴重な本と思います。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By solaris1 トップ1000レビュアー
 著者は、2005年にテヘラン特派員を命じられた時、アラブとイランの見分けもつかない程度の認識だったそうである。インドとパキスタンに駐在していたジャーナリストとしてはいかがとは思うが、それが功を奏してか、先入観の無いイラン経験を得ることになり、一般に流通している情報と実際の体験のギャップを軸にアフマディネジャド期4年間の滞在経験から現在のイランの本質に切り込もうとしている。

 かくいう私は、これまで結構な量のイラン本を読んでおり、日々在イラン日本人のブログを読み、イランも旅行し、イラン料理店の店主などから情報を得ているので、今ではアマゾンのリコメンデーションにイラン関連本が上がってこなくなっており、本書には「今更何か得るところがあるだろうか」と思ったものの、目次にある「アメリカ悪行博物館」に興味をそそられ読んでしまった。アメリカ悪行博物館は、ソウルにある「西大門刑務所歴史館」や中国の「南京大虐殺博物館」のような感情的誇張溢れる内容か、または、世界各地の政権転覆などに関与してきた米国悪行履歴かと思っていたら、意外に普通に革命前までの大使館とその機密資料(しかしその内容はイランにとっては悪辣な政策企画・指令が記載してあるものなのだが)を保存してあるだけで拍子抜けだった。

 本書でも記載されているが、イラン人はアラブ人と一緒にされるのは最大の侮辱とされる程「自分たちは白人」だと考える人は多く、欧米文化に惹かれている。この辺の事情はイラン人は神の国イランをどう考えているかでよく看取できるところだし、映画などはかなりハリウッド的なものも多い(イラン旅行時に見たイラク戦争映画は、最初「ランボー」かと思う様な戦争活劇だった)。「アフマディネジャドは初の非聖職者大統領」という事や、今ではすっかり秘密警察に抑圧されている感のある社会も、同大統領2期になってからの話で、一期は寧ろ風紀開放は進んでいた、など本書をを読んで思い出したことも多々あった。

 そんな白人崇拝のイランで革命時聖職者が主導権を取ったのは、地方の町では識字率も低く、知識人といえば聖職者で、民衆の問題を良くわかっていたから、都会の知識人や学生よりも支持を得たわけで、革命後の成果として地方の識字率が上がった反面聖職者が私腹に走り堕落し、民衆と乖離したことから現大統領の支持につながった事情なども簡潔に記載されている。民主主義の捉え方も、白人崇拝知識人と一般大衆とは若干異なり、欧米が理解し易い白人崇拝知識人と聖職者の対決という構図だけ見ていては、今後の動向は測りがたいといえる。本書はこうした国内事情や対米対イスラエル政策事情を的確に記載してゆくが、ひとつ大きく不足していると思われるのはここ数年で大きく強まった中国との関係に一言も触れられていない点。「米国への意識過剰」は、「イランを大国として認めてもらいたい」という意識にもつながり、米国がイランにつけいるポイントだと思うのだが、いつまでも関係修復が進まないと中国がイランの誇りを保証し、「米国へのこだわり」が低まる可能性がある。こうした観点から、近年の中国との関係も記載が欲しかった。

 最後に。本書は一方的なイラン寄りの記述なのか?との疑問もよぎるものの、裏を取ることこそがジャーナリストの仕事なのでそこは信頼できるのではないかと思う。本レビューの表題に掲げた著者の言は非常に好ましい。 
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 革命人士 トップ500レビュアー
反米、反イスラエルが国是のイラン。じゃあ、イスラム連合でほかのアラブ諸国と仲が良いのかというととんでもない。イスラエルほどでないにしろ、イランから中東戦争の火の手が上がってもまったくおかしくない。イランと周辺国との不思議な関係を本書が読み解く。

対岸のドバイには、イラン各地から毎日70便の定期便が飛び、最寄りの解放区リゾートになっているが、それ以上に、欧米の経済制裁を受けるイランへのクリアランス貿易の中継地として繁栄した側面が見逃せない。ドバイの輸入物資の7割がイランに再輸出されているというから驚く。ペルシャ人はアラブ人と「同じムスリム」と同一視して欲しくない。ナチスじゃないが自分たちは「アーリア人、白人だ」という思いが強い。アフガンやバーレーンなど周辺の小国への露骨な大国意識を隠さないし、イラン・イラク戦争の前科もあるので、アラブ諸国はイランへの警戒感は非常に強い。また、「ペルシャ人国家」の外側からは見えづらいアゼリ人やクルド人などの少数民族問題は日本メディアではほとんど取り上げられないので興味深い。アゼリ人はイランで確固たる地位を築いているが、彼ら独自の仲間意識が強くあり、ちょっとしたなまりで同胞と分かると、ペルシャ人には分からないアゼリ語に切り替えてしまうという。もちろん、イラン国内で独立運動にならないよう、マイノリティの自己主張は抑えつつペルシャ人による差別的言辞も厳しく取り締まる。

対米関係などはそれなりだが、ほかにも、昨年死去したかつてのイランナンバー2、モンタゼリ師が革命体制への怒りを語ったインタビューなど読んで得る所は多い。著者がイラン人の発言の大げささや嘘を嘆く場面が多いが、アフマディネジャド大統領の放言も民族性に由来する点があるのかも知れない、と本書を読むと思う。
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