フランスの原子力庁戦略研究局長・エッセイストのテレーズ・デルペシュ氏が、現在のイラン
の核開発疑惑について、国際関係論的視野から論じる。
構成としては、ヨーロッパ、アメリカ、ロシア、中国、パキスタン、インド、イスラエル、
北朝鮮、エジプト、サウジアラビア、南アフリカ共和国に、各一章をあて、
各国が、現在イランとどのような関係にあるか、歴史を踏まえながら説明していく。
基本的には、一対一の国際関係を描き出しているためわかりやすいが、やや平板な印象も
避けられない。
この本では、イランは、エネルギーには全く不自由しないにも拘わらず、核開発を秘密裏に
進め、反欧米路線を進め中東の不安定要因となっている。
といったような、欧米から見た定番的解釈が主体となっている。
アメリカがパーレビ王朝を支援し、その後のホメイニ革命以降、強力な経済制裁を行ったため
ロシア、中国陣営に追いやったような、欧米から見た負の歴史は書かれていない。
日本が基本的には、欧米と協調しながら対イラン政策を行っていることを踏まえれば、
ある意味、常識的な視点かもしれないが。
(日本も対イランの経済制裁に参加していることをお忘れなく)
私は、他に現在のイラン問題についての良書を知らないため、本書を推すが、中東・イラン側
から見たイラン問題についても、別途、知識を得る必要があるように思う。