難解だと思われている多変量解析をここまで噛み砕いて説明している本も珍しい。
内容は、回帰分析、主成分分析、因子分析、判別分析、数量化理論1〜4、クラスター分析。
一般に、多変量解析の本は次の3つのパターンに分かれるようだ。
1.数式の羅列になっていて、よほど数学に習熟している者でない限り、そのアイデアや議論の全体像がつかめないもの。
2.何の説明もなしに公式がポンと出てきて、エクセル等の統計ソフトの使い方の説明に終始するため、本当の理解が得られないもの。(したがって、すぐに忘れる。)
3.読み物風、エッセイ風に書かれており、親しみやすく、読みやすいが、あまり実務には役立たないもの。
本書は、上記の3つのパターンに当てはまらない。説明が丁寧で、親切。数式の導出も、具体例から入り、飛躍することなく丁寧に導かれる。言葉遣いは親しみやすいが、決してレベルを下げていない。
残念なのは、表紙のイラスト、レイアウトがカッコ悪い点だ。統計学の堅苦しいイメージを払拭したいという出版社の気持ちは分からないではないが、ハッキリ言って失敗している。安っぽいマニュアル本かと思われてしまう。中身が素晴らしいだけに残念。
また、本が小さくて使いづらいように思った(46判)。小説ならば文庫本がいい。なぜなら電車の中で読めるから。しかし本書は統計学の本だ。いくらわかりやすいと言ったって電車の中で読む本ではない。やはり紙と鉛筆と電卓をもって、自分で計算しながらひとつひとつ数式を抑えていくものだと思う。アンダーラインを引いたり、書き込みをしたりする習慣のある人は不自由するはず。
何故こんな悪口を言ったかというと、この本を見かけで判断して欲しくないからだ。表紙のイラストがダサくて、小さな本だからといって、安っぽいマニュアル本だと誤解して欲しくないからだ。
以前、多変量解析の本を読んで、消化不良を起こした方は、この本でもう一度トライしてみたらいいと思う。