今は腹腔鏡手術が多くなり、若い外科医は開腹手術を経験する機会が減っています。でも消化器外科手術において「膜」を丁寧に剥離する操作は、基本中の基本で、開腹手術でメーヨーやメッツェンを使っている時にその事を実感します。剥離する層が薄い膜たった1枚分違っただけで、血管処理を最小限にできるか、それともたくさんの血管を切離しなければならないか、運命の分かれ目になるんです。開腹手術で繊細な「膜」の操作をする機会が減っている今、必要な経験を積むには昔より時間がかかります。理論で「膜」の操作を考えると早く上達するんじゃないかと思います。そのためにこの本はうってつけじゃないでしょうか。残念ながら、当の私は、この本を餞別として後輩に譲ってしまいましたが、今でも惜しいことしたなと思っています。