まず、評者の立場としては、特定の韓国語をハングル込みで学ぶ必要があると考えます。なぜなら、以前、「
ワスプ(WASP)―アメリカン・エリートはどうつくられるか (中公新書)」と言う本で著者である越智氏が、序文でアメリカの差別構造をひとしきり論じた後、同僚の韓国人教授に「韓国では、アメリカのように差別用語がありますか?」と尋ねたところ、「そのような用語は、存在しない」と回答され、越智氏は東アジアとアメリカでは社会が異なると論じてしまっているのです。では、この韓国人教授の回答は真実でしょうか?
答えは、Noです。
成立時期は不明ですが、評者の知る限りでは豊臣秀吉の朝鮮出兵時から、朝鮮語で日本人に対してだけ使用する幾つかの否定的な用語が、厳然と存在しています。つまり、越智氏は明らかに韓国人教授から嘘を付かれたのです。もし、越智氏が韓国語に関して一定の知識を身につけていたら、韓国人教授の虚言に騙されることもなかったでしょう。
しかしこのレビューを読まれている方で「韓国に興味が無く関わりが無いため、そんなものは学ぶ必要が無い」と、考えている方もおられるかも知れません。残念ながら、その考えは甘いと言わざるを得ません。かつて、イラクのサマワに派遣されていた自衛隊員に韓国軍の兵士が近づいてきて記念撮影を求め、自衛隊員はそれに応じました。もし、その時に韓国軍の兵士が持っていたプラカードのハングルの意味が解れば、応じることは無かったでしょう。
そのプラカードに書かれていたハングルの意味は、「独島は我が領土」。
この事から二つのことが理解できます。まず、韓国に関わりが無い人でも向こうから近づいて来るため、否応無く関わりを持つ可能性が高いこと。そして朝鮮半島の人々は、不法占拠している「竹島」の韓国名である「独島」を持ち出したことからも解るように日本人に対してある種の強い感情を有している人が多いこと。これら朝鮮半島の人々が、日本人の生命、財産、尊厳に好ましい影響を与える状況とは言い難い状況があることを知ると同時に、その状況に対処するために韓国や韓国語の一定の知識は必要ということです。では、本書ではその状況に対処するための知識を提供しているのでしょうか?本書で「イラッとする韓国語」とされている韓国語が以下の一文です。
「プサンまで電車とスキップどちらが早く着きますか?」
上の一文からも解るように、本当に日本人が必要としなければならない韓国の知識や韓国語は本書では全く触れられておらず、完全に役に立ちません。むしろ、本書の平易すぎる内容が極めて複雑な局面がある日韓関係の事象を見る目を曇らせる側面が有る以上、韓国に興味が無い日本人が、本書の知識だけでは極めて不利益を蒙る自体も十分に予測されます。よって、本書の評価は星一つとします。