本作はジム・ジャームッシュ監督が描く、ニールとクレージーの魂の絆を描いた映画。彼等4人の96年の演奏場面を主として、インタヴュー(4人を対等に扱う。顔や声が似ているニールの父も登場する)や70年代、80年代のフィルム(口論している場面もある)・写真、ツァーの様子・風景等を撮った映像を曲間等に挿入する。この監督らしく、粒子の粗い映像、明度や彩度を落としたり、焦点をわざとぼかした映像、白黒映像が多い。したがって、本作にシャープな画像を期待してはいけない。逆にそのような映像だからこそ、過去の写真・フィルムも違和感なく溶け込んで、彼等の30年近い、悲劇もあった、そしてそれを乗り越えて結びつきを深めたニールとクレージー・ホースの関係が鮮やかに浮かび上がる。クレージー・ホース各メンバーの個性・考えをじっくり紹介した作品を私は他に知らないから、ニールと彼等の演奏に魅了されてきた人には本作はマスト・バイと言えよう。
映画には、1.F*!#N UP, 2.SLIP AWAY, 3.BARSTOOL BLUES, 4.STUPID GIRL, 5.BIG TIME, 6.TONIGHT’S THE NIGHT, 7.SEDAN DELIVERY, 8.LIKE A HURRICANE, 9.MUSIC ARCADEを収録。9.はエンド・クレジットと重なるニールのアコギの弾き語り。他はすべてクレージー・ホースをバックにした轟音の洪水。サラウンドだが、録音は本作と同名のCDのようにオフ気味。しかし大きな音で聴くと気にはならない。本作と同名CDで共通するのは2, 3, 5, 7の4曲だけだからCDも買って損はない。名曲6と8は本作でしか聴けないアレンジで貴重。特に8は96年のライヴと若き日のライヴをつないでおり、編集の妙に感心する。