変わったタイトルに惹かれて本屋で買いました。以前に人間の地誌的記憶に関する研究発表を行ったこともあり、この分野の最前線の知識に興味があったからです。
さて内容ですが、冒頭からアリやハトの帰巣本能(システム)についての研究史が概説され、続いて人間の空間把握と地理記憶に関する内容が少しだけ語られますが、これについてはそこまで。次いで人間が空間をどう認識し分割するか、さらには都市計画の歴史と現在など幅広い議論が展開されていきます。最後はバーチャル・リアリティとネットの将来像まで。しかし、いずれの章も少し突っ込み不足というか、現段階の研究が説明されては感想が述べられるといった方法でいまひとつ食い込んでくるものがない。ニューズウィークのコラムを読んでいるかのようなのです。著者はバーチャル・リアリティの研究を行っているとありますが、自身の研究成果についてだけでも詳しい内容が含まれていればさらに興味深い1冊だったかと思います。