フランスを代表する漫画家の一人、パスカル・ラバテ氏よる500ページを超えるモノクロのBD(フランスベルギー独自の漫画スタイル)作品です。
有名なトルストイとは同姓別人の埋もれた文学作品を原作としています。
となると、マニアックで取っ付き難そうに思えますがどっこい!
英雄でもない市井の男の、生きる為に這い回る様が、こんなにも魅力的筆致で・・・
自分の描きたいもの、読みたい物を描いているという感じで、魂こもってます!という創作でしょう。
こんな企画は編集者なら尻込みする筈ですが、難関苦労を乗り切って1998から2001年までの4年で発表され、絶賛!
アングレーム国際漫画祭で最優秀賞となっており、日本人では水木しげるが同賞に輝いています。
舞台はロシア革命のドサクサ、波乱の時代。
同じ時代を扱った小説に我国の佐藤亜紀作「ミノタウロス」があります。味わいの深さも比肩する面白さと言えるでしょう。
通常のBD作品の傾向と違い、ペン画に彩色ではなくモノクロで筆を使って掛かれています。
騒がしくテンポの速いコマ割り構成ではありませんし、映画好きなら、頷きながらその構図の妙を楽しめるでしょう。
まるで映画のコンテを超一流の絵描きに描かせて、クロサワ・クラスの監督に任せて編集構成した様に、濃密な時間軸が構築されて行きます。
前に別のBD作家メビウスの商品を、内容はともかく最悪の造りと貶したのでしたが、この本は値段といい造本といい、丁寧で好感の持てるものです。