「みすず」2008年1・2月合併号(読書アンケート特集)の増田聡氏の書評に啓発されて一読。技術者としての視点と法学者としての視点から、情報技術の現在ひいては現代社会の特質を論じている。個人的には、非常に「学び」の多かった一書。例えば、(1)「技術標準」のもつ法規範性(いわば法の欠缺補充性)、(2)アンバンドリングにより生じた部分最適優先のマッチ・ポンプ的技術思想やアナーキズム、公意識の喪失、(3)品質管理的発想からは抑えるべきであるはずの「バラツキ」が金融工学的発想では「リスク」=事業機会としてむしろ珍重されるという倒錯、等々。(かつてのY2K問題を見よ!)やさしい語り口でさっと読めてしまうが、その内容は重く、再読三読に値する好著だと思う。