イノベーションは独創的な個人による天啓のようなものではなく、一定の原則・手順に従うことで誰にでも実現できる。
そのためのプロセスを順を追って、丁寧に解説してくれているのが「実践編」と書名に銘打たれた本書の特色である。
クリステンセン教授の見出した「破壊的イノベーション」の概念は、ハードディスク業界の研究から生まれたものであるが、
その後の研究・取組みや、本書の執筆陣であるイノサイトのコンサルティング作業を通じて、業界を横断して適用可能な概念であることが、
実際のケーススタディとして積み重ねられてきた。
本書はそれらのケースから、「パターン」を抽出し、読者が自身で利用可能なフレームワークとして呈示する。
企業の中核事業においては主流となる数値的評価は、新規市場創出には不適切であること(市場自体がないので定量的評価は困難)、
むしろ「パターン」への合致度に従って意思決定を推進すべきと説く。
加えて、技術主導型のイノベーションに陥らないよう、顧客の「用事」に着目すべきであることや、「ジレンマ」を生み出す要因にもなっている組織構造や人事評価制度の問題など、多方面に読者の注意の促し、真に実践において磨かれた知見の結実が本書であるということが、ページをめくるたびに随所に感じ取られる。
新規事業創出に携わる人、経営管理層だけにとどまらず、ビジネスマンには必読の書であるように思われる。