・何といってもジョブズがイノベーティブな男であり、人と違う考え方をすることは、誰でも知っている。だがわれわれが知りたいのは、彼がどうやってそれをやるのかだ。実際の話、イノベータはどのようにして人と違う考え方をしているのだろうか?(p20)
本書は、一流の研究者たちの、この問いへの8年間もの期間におよぶ調査・研究の成果であり、この答えを「5つの後天的にも学べるスキル」として見出した、非常に画期的なものです。
・イノベーションに必要な能力のほぼ3分の2が、学習を通じて習得できる。まず能力について理解し、練習を積めば、やがて自分の創造力に自信をもてるようになる。(p25)
本書は、このイノベーションに必要な5つのスキルを(1)質問力(2)観察力(3)ネットワーク力(4)実験力(5)関連づけ思考として、個々の能力がイノベーションに必要となる理由を丁寧に説き起こし、かつ、この5つで完結することを説明して行きます。この5つのスキルの相関関係については、図1-1(p31)にまとめらています。
本書のコンテンツは、学者による経営学書とは思えないほど、すぐにでも実務に使えるもので一杯です。特に「発見力と実行力チェック」(p43)、「顧客を観察するときに問うべき10の質問」(p116)、「あなたの組織/チームのイノベーション能力チェック」(p192)の3つは、立ち読みでも目を通しておくべきでしょう。
付録も充実しています。特に付録Cの「発見力を磨く」では、読者個人の発見力を磨く方法、次世代を担う若手の発見力を磨く方法、そして家庭や地域で発見力を磨く方法と、非常に気になる部分について、網羅的にその具体的な手法を開示してくれています。
・イノベーション能力は主に遺伝で決まるわけではないといった。だがそういいながら、イノベータの頭の中で起きていることをDNAになぞらえて説明するのは、それが遺伝だと暗に示しているようなものだ。(p31)
この一見相反する2つのアイディアを統合する能力自体が、イノベーションに求められるものなのです。本書を読み終えれば、本書のタイトルが意味するところが見えてくるだけでなく、イノベータに求められる能力が1つ開発されたことが自覚できるという、そんな仕組みなのです。にくいですね(笑)。
本書の価格は2,000円。これだけのコンテンツを持ってして、この価格は、明らかに安いです。企業、学校そして家庭という文脈でも、教育のカリキュラム設計に責任を持つ人であれば、誰もが読んでおかなければならない1冊だと思います。