イノベーションについては様々な方が様々な観点を書籍で著していますが、それらのうち主要なものは全て本書で述べられています。
イノベーションといえば、クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』が最近では有名ですが、
本書は原著初版が1985年であるにもかかわらず、既にその骨格が示されています。
また、競争優位を構築するという観点からはW・チャン・キム等の『ブルーオーシャン戦略』が有名ですが、
こちらも既に示されています。
主要なイノベーション理論の大元が本書であるといえるぐらいに、本書では様々な角度からイノベーションを掘り下げています。
また、単に様々な観点からイノベーションを論じているだけではなく、
イノベーションとは何か、イノベーションの源泉は何か、イノベーションを如何にマネジメントすべきか、を体系的に解説しています。
それも一握りの天才が行うものとしてではなく、普通の人々が努力すればできるものとして作られています。
まさにイノベーション・マネジメントを創りだしたといえるでしょう。
更に、他のイノベーション手法が、まるでそれだけで上手くイノベーションできるように論じているのに対して、
本書では、各々のイノベーション手法が成功するための前提条件や制約・限界を提示しており、
市場・顧客・自社の状況に応じてイノベーション手法を使い分けるべきとしています。
個々のイノベーション手法の活用を検討する際に本書は有益な視点を与えてくれるものとなっています。
特筆すべきは、類書が企業内部からイノベーションを捉えているのに対して、
本書では企業外部(社会・市場)からイノベーションを捉えていることです。
イノベーションが新たな顧客・需要を創造することである以上、企業外部から捉えるのは当然のようにも思えます。
しかしイノベーションというとアイデア・イマジネーション・クリエイティビティという用語が思いつきやすいように、
企業内部や個人の頭の中からスタートする解説の方が数多く見受けられます。
勿論、これらは大事なことなのですが、イノベーションの目的は何か、という観点からスタートしている本書の価値は極めて大きいのだと思います。
イノベーションに関する様々な書籍を読みあさった後に本書を読み返したことで、本書の価値の高さを再認識することができました。