多くの読者は「チーム。バチスタ」のようなミステリものをご希望なのだろう。だが、作者が一貫して投げかけている問題は「AI」を導入しなければ、医療は崩壊するということだ。第1作目がミステリとして面白く、受け入れられた.しかしあれは撒き餌だ。彼の作品群には一貫した主張がある。いまのようにいい加減に死因を放置し、死後検索を行わなければ医療は廃れるという危機感だ。ブルーバックスの「死因不明社会」が作者の主張を端的に表している.彼の作品群には現在の医療が内包する多々の問題を素人にもわかりやすく、面白く読めるようにエンターテイメントとして翻訳したものだ.ミステリ小説が読みたいのなら、ほかにいくらでもあるだろう。しかし、今の医療の現実を小説という形で多くの人々に示すことのできる作家は海堂尊しかいない.ここまで声高に厚生省批判をしてくれた作者に賛辞を送りたい。