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イトウの恋 (講談社文庫)
 
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イトウの恋 (講談社文庫) [文庫]

中島 京子
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

「旅の時間は夢の時間」とあの女(ひと)は言った。人生はいつも誰にも不可思議なもの。
ヴィクトリアントラベラーに恋した男の手記をめぐる、心暖まるラヴストーリー。
『FUTON』に続く会心の書き下ろし第2弾!
「ちっちゃな/ニッポンジン/そのクルマ 仔馬に/引かせて/カタカタと 歩いて/走って/丘を越えて やがて/消えてく/ヨコハマへ」
彼女があの不思議な物語を読んでいて、私がそばにいって、なにが書いてあるの、と訊ねると、彼女は昔、昔のお話、と答えたものだ。昔、昔、ヨコハマのお話、と。昔、昔、ヨコハマのお話?そう。昔、昔。ヨコハマのお話。ちっちゃなニッポンジンの話? と私が言うと、彼女は私を抱き上げて笑った。そう。昔、昔、ヨコハマの、ちっちゃなニッポンジンのお話よ。<本文より> --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

維新後間もない日本の奥地を旅する英国女性を通訳として導いた青年イトウは、諍いを繰り返しながらも親子ほど年上の彼女に惹かれていく―。イトウの手記を発見し、文学的背景もかけ離れた二人の恋の行末を見届けたい新米教師の久保耕平と、イトウの孫の娘にあたる劇画原作者の田中シゲルの思いは…。

登録情報

  • 文庫: 368ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/3/14)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062760037
  • ISBN-13: 978-4062760034
  • 発売日: 2008/3/14
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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By saorina
形式:単行本
 上野のお山で官軍と戦って死んだ下級幕臣の息子が、横浜の波止場で英語を身につけ、世界を旅するイギリス人女性探検家を東北に案内することになる。当時の日本男児がビクトリア朝の本国にもそうたくさんはいなかっただろう自立したインテリ女性と親しく口を利く。ほとんどありえないような出会いだ。現代人だったらタイムマシンでやってきた未来人か、エイリアンとの邂逅のようなものか。
 そんな時空を超えてしまったような出会いが、多感な年齢の青年に、一生を左右するような刻印を残さなかったはずがない。この小説はそういう着想から生まれたものだと思う。最大の読みどころは、実在の人物である伊藤鶴吉をモデルに、この人物の心を自由に想像したところから生まれた、イトウの手記の部分である。
 オフィシャルな歴史は、権力を持った者や、権力はなくとも数として無視できない社会的集団を中心に語られる。しかし、時には、オフィシャルな歴史が顧みない個人の例外的体験が、遠く時を越えて子孫の世代の人々に語りかけることもある。
 日本には存在し得なかったような女性。男尊女卑的なものとまったく無縁なイトウの恋。
「おまえは誰のようになる必要もない、ただおまえ自身の不可思議な人生を生きよ」と、作中のイトウは娘に語ったことになっている。この本を読んだ者は、イトウの恋から生まれた、娘であり、息子になる。
 ドタバタ調の現代劇と重厚な明治人の手記が良いバランスを保っている、佳作。
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
横浜の男子校の冴えない社会科教師と、自分の「女性性」に懐疑的な劇画原作者。まったく話のかみ合わなかった二人が、「イトウの手記」を探す中で次第に距離を縮めていくさまは、なんともユーモラスかつ暖かく、ほのぼのとしてくる。二人が、手記を探す中でそれぞれ自分自身にとってたいせつなものを発見していく過程がいい。また、この小説の魅力は、その自在な文体の使い分け。落語をイメージさせるようなおかしみのある語りの一方で、明治時代を生き、年上の外国人に恋をした青年イトウの「手記」では、恋する若者の切なくまっすぐな心情を切実に訴えてきて、読者を小説にひきずりこんでしまう。
「語られ尽くしたとすら思われるある確固たる時代に、まったく語られることのなかった人物とその人の生きた時間があるとして、それが僕らに教えてくれるものがあるのではないか」という、久保耕平の言葉が胸に響く。
斎藤美奈子、鴻巣友希子、角田光代といった、「本読み」たちが絶賛するのもうなずける。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
ヴィクトリア朝イギリスの有名な女性旅行家イザベル・バードの『日本奥地紀行』に想を得て書かれたラブストーリー。
中学校教師の久保は、鎌倉の実家の屋根裏部屋で、曽祖父の旅行鞄から古い文書を発見する。そこには、英国から日本にやって来た美しい女性旅行家と、彼女の旅に通訳として同行した20歳の青年との恋が綴られていた。
これは、明治時代に横浜で通訳のさきがけとして活躍した、伊藤亀吉の手記だと確信した久保は、伊藤の子孫である女性を探し出す。
2人はともに、謎に満ちた過去を調べはじめるのだが…。

うーん…バイヤットの『抱擁』にそっくりすぎやしないだろうか。
現在と手記を行き来する構成も、ヴィクトリア時代には試練がある恋愛という設定も、現在に生きる恋愛に疎い2人が過去を調べていくうちに惹かれあうところも…。
はじめて読む話なのに、すでに先が読めてしまうのがちょっと寂しい。
読後感はほんのり温かい気持ちになるけれど、もうひとひねりほしい感じがする。

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ラストに不満
イザベラバードに興味があるので読んでみましたが、読後感があまり良くなかったです。... 続きを読む
投稿日: 12か月前 投稿者: ★
『日本奥地紀行』が好きな人にはオススメしない。
情景描写が貧弱で、最初の十ページで投げ出したくなった。
『日本奥地紀行』の内容をイトウの側からなぞった部分は... 続きを読む
投稿日: 19か月前 投稿者: zohton
若くてせつない、イトウの恋
またしても、ノスタルジーを感じさせる彼女の傑作。

イトウは、横浜生まれ横浜育ちの少年。... 続きを読む
投稿日: 20か月前 投稿者: Rumiko
中島ワールドの楽しみ方
 小さいおうちよりも多弁で荒削りではあるが、史実、ユーモア、ロマンスという、彼女の世界がすでに確立されている。... 続きを読む
投稿日: 21か月前 投稿者: 麻冷
つまらなくはない
現代の部分の文体が軽薄すぎて、入り込みにくく感じたが、楽しめなかったわけでもない。... 続きを読む
投稿日: 2010/4/7 投稿者: KIMYOU
もっとのめり込むのが人情。
明治の西洋人女性、それに恋するイトウ、その過去の2人を辿る社会人教師、漫画作家…... 続きを読む
投稿日: 2009/5/9 投稿者: umico
謎の人
イザベラバードの日本紀行を読んだとき、ときどき登場する、通訳者の「イトウ」という人物に妙に魅かれて、ネット検索してみたりしたのですが、あまり詳しいことがわかってい... 続きを読む
投稿日: 2009/3/11 投稿者: スズメいか
素敵な恋の物語。
娘、おまえは誰のようにもなる必要はない。
おまえ自身の不可思議な人生を生きるのだ。... 続きを読む
投稿日: 2007/11/8 投稿者: tao
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