ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演による実在の拳法家、
詠春拳の達人・葉問の半生を描いた伝記アクション映画。
「序章」と「葉問2」がこのたび合わせてソフト化されました。
特にブルーレイ化は半ばあきらめていたので、今回無事ソフト化されとてもありがたい。
「序章」は太平洋戦争時の日本軍占領下の佛山、「葉問2」は終戦後のイギリス占領下の
香港を舞台に、それぞれ日本人・イギリス人から迫害を受けながらも己が志を貫き戦う
高尚な武術家の姿が描かれている。
「序章」はルイス・ファン演じる北部から来た拳法家の挑戦を葉問が受けるエピソードから始まり、
やがて戦争が激化し働かずとも裕福な生活をしていた葉問も、日本軍占領下では財産を没収され
過酷な貧困生活を強いられるようになります。
そして日本軍に虐げられながらも中国人としての誇りを守るため、果敢にも日本軍と拳を交える。
「序章」最大の見せ場は日本軍兵士の空手家たちとの10人掛けの場面でしょう。
劇中、それまで対戦相手に寸止めで攻撃を当ててこなかった葉問が、
怒りにまかせて日本軍兵士の急所に躊躇うことなく猛然と打撃を打ち込んでいく。
静かな怒りを表現するドニーの演技とモノトーンの映像が張りつめた緊張感を演出。
「序章」は最後に池内博之扮する日本人将校との一騎打ちがメインとなります。
個人的には池内を補佐する役目の将校役の、渋谷天馬の悪辣ぶりが良かったです。
日本人から見ても憎たらしい(笑)
続く「葉問2」では香港に移住した葉問一家が、武館を開こうとして地元の武術家たちと
衝突するところから始まります。
「序章」ではアクション指導だけだったサモ・ハンが武館の師父として登場します。
葉問とのテーブルの上での立ち合いは「葉問2」での見せ場の一つ。
少しワイヤーでの過剰な演出が目につきますが、やはり拳法家同士の立ち合いの方が
無理がなく見ていても面白い。凄まじい手捌きによる攻防が素晴らしいです。
後半はイギリス人ボクサーとの確執により、異種格闘技戦の運びとなります。
この部分はさながらロッキーのよう(笑)
川井憲次の重厚なスコアが見事に劇を盛り上げ、涙腺を刺激します。
2作ともアクション部分が多く見応えがありながらもドラマもしっかりしており、
勧善懲悪な設定もわかり易く感情移入しやすい。
日本人が悪役で登場しますが、上記のように渋谷天馬は非常に憎たらしいですが、
池内は道理をわきまえた武術家として描かれ、悪役ながら好感が持てました。
堅固なつくりのアクション大作で、格闘映画ファン以外のアクション映画ファンの方にも
おすすめできる力作になっています。
ウィルソン・イップ×ドニー・イェンの作品は、ドラマもアクションも両立した質の高い
コラボレーションで毎回期待を裏切りません!