数多く出版されているイタリア料理のレシピ本のなかでも、とても高い水準を持った本です。
レシピは詳しく書かれており、手順が細かいだけでなく、料理についてのより根本的な捉え方、どういった方向性で味付けをすべきか、作業のポイントとその効果などもしっかり書かれているために、これから作る料理がどういうものであり、手順ひとつひとつがどういう意味を持つかということを筋立てて理解することが出来ます。
例えば、ニンニクのみじんぎりについてですが、ただ細かく切るのではなくて、多くのケースで、『2mm状のキューブ型に切る』ほうが効率がよいと書かれており、これは、適当にみじん切りにするよりも、均等に火が通りやすく、焦げにくくなるために必要な作業なのだという説明も合わせて解説されています。
レシピ本には、「なぜそうすべきか」ということが抜け落ちて、手順だけが書かれているものが多いですが、こういう記述をしてもらえると、ただ同じものを作るのではなく、料理の技術や応用力そのものが増すように思われます。
ただ、料理自体は本当に現地の料理といった感じで、日本では手に入りにくい素材が多々使われていたり、代用になる食材などが書かれているわけでもないので、日常で気楽に作ってみようという料理のレシピはあまり掲載されておりません。ご購入を検討されている方は、自分の用途とあっているかどうかを考えてみるとよいと思います。
私自身も、実際に作った料理は多くありませんでしたが、それでもイタリア料理そのものへの理解力と技術力が大分増したように感じられます。趣味だけど、真剣に料理に取り組む層にとっては、とても有効な一冊だと思います。