それにしても、南イタリアのマフィア(コーザ・ノストラ)の力の強さは計り知れない。
日本でも暴力団は一定の勢力を持っているし政治経済への関与は多少ならずあるとは思うが、イタリアでは裏社会というよりも、表から圧倒的な支配力を持っている。
指名手配されているはずのマフィアのボスが、警察署の近くで隠れることもなく何十年も暮らしている、という状況だ。
マフィアは、バチカン、イタリア首相などを「友人」としており、司直の手が伸びることはない。
マフィア捜査を担当し、マフィアの根絶を目指した検察官、裁判官、刑事、政治家、ジャーナリストは、ことごとく殺害されている。イタリア・マフィアは敵と共存はせず、必ず親族含めて根絶やしにする。
連日のようにマフィアによる殺害が行われており、政治、司法、警察もマフィアの支配下に置かれている状況で、庶民はひたすら静かに暮らすしかない。安月給かつ圧倒的小人数でマフィアと戦わなければいけない警察や憲兵に強い正義感を求めるのも無理がある。
それでも感動的であったのは、確実に殺されるとわかっていながらも、マフィアのない社会を目指して果敢に戦う検察官達である。政権、検察、警察、裁判官等にマフィアの友人が潜んでおり、内部からも「これ以上はやめろ」と強い妨害・脅迫を受ける中で、捜査を続ける孤独は如何ほどのものか。
ワインや料理、サッカーなどからイタリア人気質を礼賛する本は多数あるが、このような状況で暮らす庶民の悲哀を知った上でのイタリア理解でなければ、フジヤマ・ゲイシャの日本理解と大差はないだろう。
日本語訳がこなれておらず、若干文意がわかりにくい文章や日本語のミスがあるのは残念。