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イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ)
 
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イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ) [単行本]

菊地 達也
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

イスラーム教形成のプロセスを根源から考察
「正統」は「異端」から生まれる。ムハンマドが創始した宗教がスンニ派、シーア派に分かれ我々の知るイスラーム教になるまでの過程を読み直す新たな思想史の登場

内容(「BOOK」データベースより)

「最終預言者」ムハンマド亡き後、「信仰」の正しさは誰が決めるのか。あくまで信仰の純正性を追究する「極端派」、生活との「妥協」を計るその他の多数派。イスラーム教は両者の対立・抗争のダイナミズムから誕生した。イスラーム教形成のプロセスを根源から考察し、ムハンマドが創始した新たなる宗教がスンナ派、シーア派に分かれ、われわれの知る「イスラーム教」になるプロセスを読み直す、スリリングな思想史の登場。

登録情報

  • 単行本: 274ページ
  • 出版社: 講談社 (2009/8/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062584468
  • ISBN-13: 978-4062584463
  • 発売日: 2009/8/11
  • 商品の寸法: 18.4 x 13 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 現代イスラムの問題の原点, 2009/12/30
By 
糸音 - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ) (単行本)
スンニ派という主流派が形成され、それに反発するものたちがシーア派を形成したと思いこんでいた(高等学校の世界史や一般的な概説書ではそのように書いている)が、そうではなかったということは驚きであった。
周りの主流派と違うと思うものたちが自分たちの集団を形成する。カイサーン派・ザイド派・イスマーイール派・12イマーム派と続き、そして最後に残された主流派がスンニ派として他派を鏡として自己の規定を行っていくというイスラム集団の形成過程の説明は目から鱗であった。この形成過程を追うことにより、現代のイスラムが抱える問題の一端が見えてきた。

考えてみれば、イスラムにおいてはキリスト教のような正統・異端という概念はなじまない。スンニ派もシーア派も共存共栄し、隣人として生活してきた時代は長い(明らかに近代化の性で変化してきているが)。シーア派が弾圧されることもあるが、宗教的な異端弾圧と言うより政治的な争いと考えられる例が大半である。異端弾圧ということに関してはシーア派がシーア派でない人々を攻撃するという例の方が遙かに多い。

イスラムにおいては曖昧に多数派が形成され、みずからをムスリムと認めるものがムスリムたり得るという指摘は非常に示唆するところが多い。みずからをムスリムと認めることは周囲が認めることとにつながるわけではない。近年の独善的な原理主義やテロリズム集団がムスリムを自称したり、真のイスラムを体現している(この辺りはキリスト教原理主義と同一だ。またキリスト教徒の比較で言えばイスラム諸派の形成はカトリックよりプロテスタントに類似している)と称したりして他のムスリムは偽りの信仰であると攻撃する傾向はまさにイスラムという宗教の持つ本質に関わっている。

勿論、過激派を弾圧しろと言うのではない。そもそも弾圧はイスラム本来の思想に合わない行為である。過激な思想を如何に穏健化させていくのか、過激化の背景を如何に取りのぞいていくのか、イスラム主流派はイスラムという宗教の持つ本質と関わる部分と近代という社会から起因する要因が複雑に絡み合った課題を突きつけられている。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「派」の形成史, 2009/8/20
By 
ソコツ - レビューをすべて見る
(トップ100レビュアー)    (VINEメンバー)   
レビュー対象商品: イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ) (単行本)
イスラームには多数派のスンナ派と少数派のシーア派があり、前者は初期の「正統カリフ」と共同体の伝統を重んじ、後者はムハンマドの娘婿のアリーとその子孫に権威を求め指導者がカリスマ的、といった教科書的な常識ぐらいなら知っている人は少なくなかろう。だが、そのような「常識」的な状況はいかにして形成されたのか。その真相を知る者はあまりいないと思われる。本書がその真相を丁寧に教え示してくれる。
もとより存在した多数派から少数派が分派してきた、といった素人の直感はあたらない。むしろ、ムハンマドの死後、様々な思惑や理念を持った勢力が互いに武力衝突を伴う争いを繰り返しながら、個々の栄枯盛衰を経て現在の状況に至った、というのが現実だ。しかも、多数派としての地位を獲得したスンナ派が「派」としての自己認識を獲得するようになるのは、各種の「異端」的な宗派が台頭したそのずっと後のことであって、これらとの差異化の試みのなかでようやく「正統」を誇る「多数派」が生成してきたのであった。シーア派もまた、スンナ派以前に形成された宗派のうち数的・力的に生き残ることに成功した一派であるに過ぎない。
この様なイスラームの派閥形成史を、特に個々の宗派の思想的な性格に注目しつつ著者は解説していく。その事細かな思想史的腑分けの作業は、この分野に関して門外漢である評者には正直、かなり理解し難く感じられ、すっきりとした「見取り図」が得られたとは言い切れない。
だが、本書を一読するだけでもイスラーム思想の展開と、その顕著な多様性を見聞することができるのは確かであり、関連の研究に興味がわいたことは誠にありがたかった。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 シーア派の歴史, 2009/11/2
レビュー対象商品: イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ) (単行本)
シーア派とウマイヤ朝・アッバース朝・ファーティマ朝との関係やカリフとイマームの違いなどが丁寧に書かれていて、素人である私にも大変読み応えのある本でした。シーア派を中心に書かれていて、スンナ派については比較的あっさり、スーフィーに関する記述はほとんどありません。イスラーム教のメシア思想におけるイエスの扱いや、ドゥルーズ派(映画「シリアの花嫁」にでてくる一族の宗派)の話は、個人的にはとてもおもしろいと思いました。

シーア派は全イスラーム教徒の1割程ですが、イラン、サダム・フセイン後のイラク、レバノンのヒズボラなどにおける主流なので、国際社会における重要性は決して小さくはありません。

論旨に抜けがなく、重複も適度(親切)ですが、もともと込入った題材なので、一気に読まないと途中で迷子になるかもしれません。
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