本書のタイトルは、原書のサブタイトル"A History of the World Through Islamic Eye"を和訳したもののようです。
したがってそこにケチをつけても仕方が無いのですが「イスラームから見た」という表題のわりには歴史上の出来事や思想の評価が著者の主観にだいぶ依存しており、「イスラーム」の中にも複数の視点があるという当たり前の事にあまり触れられていません。
例えば、イブン・タイミーヤなどの際どい(とされている)思想家などは、かなり危険人物であるかのように書かれています。一昔前であれば原理主義者を厳重に取り締まっていた国もあったので、原理主義の源流=危険人物という事でも、とりあえずは良かったと思います。
しかし、現在エジプトやチュニジアで政権を獲得しているイスラーム原理主義政党は、基本的に彼の考え方に立脚しているわけで、依然として馬鹿げた考えの危険人物というレッテルを貼りつけたままにしておくわけには、いかないはずです。「イスラームから見た」という表題を掲げる以上は、そのあたりをステレオタイプ的に斬り捨てるのではなく、なぜイスラーム原理主義が人びとの共感を得たのか、というあたりまで丁寧に扱って欲しかったと思います。