第二次大戦後も周辺アラブ諸国との戦争が絶えず、テロとそれに対する報復を繰り返しが日常化しているらしく、やたらと高いフェンスを築いたり・・・、そんなイスラエルって一体どんな国なんだろう、という興味からこの本を手にしました。
筆者はあとがきで、「本書の特徴は、イスラエルが事実上、・・・多文化主義に向かっていることを議論の前提としていることである。逆に言えば、多文化主義的性格のゆえに、イスラエル国民の多くはその反動として、ナショナリズム的な行動をとる傾向にある。」と述べています。
「イスラエル=ユダヤ人国家」ではあまりにも単純化のしすぎのようで、イスラエル国内のユダヤ人は、スファラディーム、アシュケナジーム、ミズラヒーム、ファラーシャ、・・・などとそれぞれの背負っている地理的・歴史的・文化的背景から分類されるらしい。しかも、その文化的差異は序列化されているとのこと。
シオニズムから建国を主導したのは欧米系のアシュケナジームだったが、建国後周辺イスラーム世界と対立を深める中、大量のオリエント系ユダヤ人ミズラヒームが流入したものの、両者の政治経済的「格差」は放置されてきたらしい。
そのような国内矛盾が「ホロコースト」の政治利用や極右政党の躍進に結びついている、というのが本書に描かれている大まかな流れになろうかと思います。