イジー・メンツェル『英国王給仕人に乾杯! 』(2006)については最近スクリーン公開され、単品DVDでも発売されているので、初DVD化の二本についてコメントしたい。
『厳重に監視された列車』(1966)はナチス支配下のチェコ寒村の駅を舞台に、ミロシュ青年の性的煩悶をめぐるユーモア溢れる展開のなかで、レジスタンス運動に収斂するモノクローム映像が素晴らしい。先輩のプレイボーイが、女性電信技士の太股やお尻に駅のゴム印を押すシーンは秀逸。20年後の『スィート・スィート・ヴィレッジ』(1985)は、社会主義体制下チェコの村の生活風景を、デブの運転手とノッポの助手のコンビを中心とする、ユーモアとアイロニーに満ちたカットの積み重ねが至福の感銘をもたらす傑作であり、この二本は必見のフィルム。
チェコ・ヌーベルヴァーグは、「プラハの春」以後アメリカへ亡命したミロシュ・フォアマンが有名だが、チェコに留まったイジー・メンツェルこそ、チェコ映画の真髄を伝えるシネアストだ。本DVD-BOXには、イジー・メンツェルの軽やかな映像手法のエッセンスが詰まっている。
願わくば、20年間公開禁止であった『つながれたヒバリ』(1969)など、他の作品のDVD化を期待したい。
<追記>
重い手法で重い主題を描く監督が多いなかで、軽快なテンポで重い主題を語ることができるイジー・メンツェルは貴重な映画作家であり、多くの映画ファンに見ていただきたい。