20世紀のアメリカに突如出現した謎の武器店。その武器店は従来から建っている軽食堂と紳士服店に重なり合うようにして存在しており、一種異様な形の武器が陳列されていた。
特ダネを求めて新聞記者マカリスターは、この幻のような店に乗り込む。中に入ったマカリスターは、自分が七千年後の未来にいることに気づく。その時代はイシャー王朝百八十代皇帝、イネルダ女帝の御代であり、イシャー帝国と武器店の二大勢力によって地球は支配されているのであった。マカリスターを襲った奇怪な現象は、イネルダが武器店壊滅のために作り出した新兵器の強力なエネルギーの影響だというのだ。時間航行の影響で、マカリスターの体内には太陽系を破壊しつくすほどの時間エネルギーが蓄積されてしまい、このまま放っておけば地球は滅びてしまう。だが武器店はこれを奇貨とし、マカリスターに絶縁宇宙服を着せて、過去に送り返すことで「時間振子」を作り出す。しかし振子は均衡せず、その振幅はどんどん大きくなってしまい、マカリスターは何十兆年の過去と未来を行き来して膨大なエネルギーを蓄積するに至る。不死人ヘドロックは「時間振子」の暴走を止めるべく立ち上がる!
『武器製造業者』の主人公ヘドロックの若き日の姿を描く、<武器店>シリーズ第2作。突拍子もないアイデアの奔流、圧倒的なスピードが生み出す緊迫感、先の読めない劇的展開といった「ヴォークト節」がいかんなく発揮されている。
ただ、ヘドロックを軸として展開する前作と比べて、構成面にかなり問題があると言えよう。物語の全体の構成を気にせず、書きたいものを書くのがヴォークト流だが、この作品では特に顕著だ。ただ、それだけに各シーンの描写には迫力があり、退廃的・刹那的で欲望と陰謀の渦巻くイシャー首都の描写は圧巻である。