(上巻から続く)下巻からいよいよ主役の元CIA工作員のジェイスン・モンクが始動する。
彼には工作員時代に痛恨の記憶がある。自ら発掘し、ロシアで運営していた"資産"
たちを守れなかったことだ。それはあの「エイムズ事件」に深く関連している。諜報の
世界に関心があるなら知らぬ者のない現実の事件である。これを期にスパイゲーム
から足を洗い、カリブ海で静かに暮らすモンク。そこにロシアでの工作の依頼が舞い
込む。彼は断固として拒否するが、ある男の名を聞いた瞬間に気が変わるのである。
ありとあらゆる要素が絡み合い、とにかく夢中になることは請け合える。ロシアの新た
なる"イコン"は一体なんなのか?それが明かされた時には、なるほど保守主義者の
フォーサイスらしいと思わされたものだ。小説の最後にナイジェル卿が仕組んだ工作の
全容が開陳されるが、それがあまりに痛快で笑ってしまうほど。いや参ったの一言だ。
本作は分かりやすい勧善懲悪ものともいえ、ラストのバトルといい、映画向きの作品と
いう印象を持ったが、実際にパトリック・スウェイジ主演でTVムービーになっているとの
こと。未視聴だが、密度の濃い作品だけに二時間あまりでまとめ切るのは難しそうだ。