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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
フォーサイスの巧みなストーリーテリング,
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レビュー対象商品: イコン〈上〉 (角川文庫) (文庫)
この手の小説を読むといつも思うのだが、作者はこのような幅広い知識をどうやって取得したのであろうか。アメリカ、ロシア(旧ソビエト)、イギリスの諜報省の詳細はもちろん、アフリカの奇病やヨーロッパ王朝の複雑な親戚関係がプロップ(小道具)としてさりげなく使われている。そして、なによりもゴルバチョフ登場後の新生ロシアの社会背景が克明に描かれ、それがこの小説の舞台となっている。この小説を読んで、ロシアの混沌とした社会情勢が良く分かり、「どうしてエリツィンはチェチェンを攻撃し、それがロシアに何をもたらしたのか」というような問いにも答えられるようになった。悪のソ連(この小説ではロシア)VS. 善のアメリカ&イギリスというスパイ小説のお決まりのパターンや登場人物のステレオタイプ的な描き方にはもう一捻りほしいところだが、フォーサイスの巧みなストーリーテリングが最後まで一気に読ませる。蛇足ながら、フォーサイスはこの小説を最後に筆を絶つことを宣言した。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
スパイ小説はやはり冷戦に限る,
By APRICOT (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: イコン〈上〉 (単行本)
星4個は少し辛いかもしれない。前半5、後半4、平均4.5を四捨五入して星5個にしたい気持ちである。しかし、プーチンが大統領に就任した現在、エリツィン後のロシア情勢を占った本書の魅力もやや薄れた感があるので、星4つに下げた。前半は、ロシア次期大統領候補コマロフの"許し難い"本音を記した文書が、さまざまな人の手を経て西側政府最上層部にまで届き、コマロフの"排除"が決定されるまでの過程と、主人公の元CIA工作員モンクの栄光と挫折の経歴という、現在と過去の物語が交差して描かれる。モンクの挫折には、エイムズ事件が大きくからんでいる。エイムズはCIAの幹部職員だが、組織を裏切ってソ連に機密を売り渡した実在の人物。前半、特にモンクの物語は、テンポが遅く、なかなか話が進まないが、ノンフィクションを思わせる重厚な迫力があり、とても読み応えがあった。対照的に、モンクがロシアに赴いてコマロフ追い落とし工作を実行する後半は、トントン拍子に話が進む。充分おもしろいのだが、話がうまく行き過ぎて、物足りない感じがしないでもなかった。全般的な感想-スパイ小説の舞台はやはり冷戦に限る!
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
フォーサイスが予測する「これからのロシア」,
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レビュー対象商品: イコン〈上〉 (角川文庫) (文庫)
「イコン(icon)」とは、キリスト教において神や天使などを記念し、象徴としてつくられた絵や像のことである。PC用語などで用いられる英語の"アイコン"はここからきている。 本書でのこの言葉の持つ意味は下巻になって初めて分かる。発刊は1996年。同年に エリツィンは再選を果たすが、本書では翌年に辞任することになっており、後任として チェルカソフが就任。だがシベリアの分離独立の動き(!)への対応に失敗し、更には 経済の疲弊という難題に解決策を提示できず、ロシアは混迷の度合いを深めていく。 国民の不満は頂点に達する。そこに登場したのが極右政党・愛国勢力同盟の党首の イゴール・コマロフである。カリスマ性を有し、強いロシアの再建を唱え、弱者の味方を 標榜する雄弁家。彼は着実に国内の支持基盤を固めていく。そして次期大統領選の 最有力候補として一躍世界の注目を集めるのだが、彼にはある秘めた野望があった。 フォーサイスが予測する「これからのロシア」を小説化したものだ。2011年に生きる私 たちはロシアのその後を知っている立場にあるが、小説としては十分に楽しめるので 安心してもらいたい。彼の作品の面白さはいつもながら図抜けている。(下巻に続く)
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