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イギリス「教育改革」の教訓―「教育の市場化」は子どものためにならない (岩波ブックレット NO. 698)
 
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イギリス「教育改革」の教訓―「教育の市場化」は子どものためにならない (岩波ブックレット NO. 698) [単行本]

阿部 菜穂子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 単行本: 63ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/4/5)
  • ISBN-10: 4000093983
  • ISBN-13: 978-4000093989
  • 発売日: 2007/4/5
  • 商品の寸法: 20.4 x 14.6 x 0.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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44 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:単行本
 元毎日新聞社記者で、2001年からロンドンに住み、2人の男児を育てている女性が、2007年に刊行したブックレット。1988年以降イギリスでは、サッチャーが学力向上のために現場の反対を押し切って(原案も歪曲)、教育に中央集権的性格と市場原理を導入し、統一カリキュラム・統一学力テストの設定、テスト結果の公表による学校間競争とそのための学校自治の法的保障、それによる親の学校選択権の保障、国家による強力な学校査察制度の導入を行った。ブレアは基本的にそれらを継承しつつ、教育費の増額、幼児教育の強化、トップダウン型成績到達目標設定の慣行の定着、「失敗校」支援策を行った。これらの教育改革は、義務教育期間中の子どもに教えるべき教育内容の明確化をもたらしたと言われる反面、問題校の辱めによる教育および地域の階層化、点数至上主義教育による現場のストレス、画一的授業、考える力の弱体化、テストでの不正事件、文書や職員会議の多さによる現場の気軽なコミュニケーションの希薄化、校長不足、教育の低年齢化等をもたらしたと批判され、また学力水準もそれ程向上してはいないという評価も下されている(判定基準の問題あり)。そのため、イギリス各地でサッチャー改革への批判が生じ、テスト中心主義から子ども中心主義への移行、教科横断的授業、基礎を踏まえた上での知識の多様な応用の重視、教師の判断の尊重、学校間協力への動きが見られる。総じて「生きた機関」である教育現場には、敗者を必然的に生み出す競争原理や、外部からの統制はなじまないことが、イギリスでははっきり認識されたと言えよう。著者は更に、フィンランド・モデルを紹介して、この認識の正しさを補強している。本書からは教育についての多くのヒントが得られ、サッチャー改革をご都合主義的につまみ食いする、安倍政権の教育改革の問題性もよく分かる。
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By ミヤコ トップ100レビュアー
形式:単行本
本書は、1980年代後半における、サッチャー保守党政権が実行した教育改革
の特徴、影響、効果、そして現在(本書出版の2007年時点)の様子までを
まとめた本である。

この教育改革の骨子としては、全国共通のカリキュラムと統一学力テストの導入、
統一学力テストの結果の公表、保護者への学校選択権の付与、学校査察機関
の設置、学校の自治の保障等を盛り込んだものであり、簡潔にいうなれば、
学校間の競争をあおった「教育の市場化の導入」である。

ブレア政権下でも、基本的にはこの政策が継続されたため、この成果を検証
する上でも、本書の意義は大きい。
本書では、この市場化の導入により、現場教師たちは大混乱に陥り、疲弊し
きっていること、学力テスト成績向上のための不正もあること、ほとんどの
教師たちはこの政策に反対であること(民意を反映していないこと)、スコ
ットランドやウエールズではこの政策路線とは違う方向に舵をきったこと、
イギリスとは正反対の教育政策で成功しているフィンランドのこと等が、
主として取材を基に書かれている。

全部で63ページの分量のブックレットではあるが、非常によくまとめられて
いる。日本の教育行政でも、教師評価制度の導入や学校選択制度等が取り入れ
られているところも増えてきた。教育には市場原理は馴染まないということ
を、本書は雄弁に語っている。教育行政に携わる人は一読すべき本である。
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By
形式:単行本
 63ページという短かさに、期待することなく読み始めたのだが、ブレア政権下の学校教育の現状が的確に描かれていて感動した。というのも、日本人の著者によるイギリスの教育についての書物は教育学者が書くものを含めて、いまだにサッチャー政権下の認識で語られているものが目につくからである。もはや、サッチャー政権下の教育をめぐる状況とは大きく転換していることを本書は描き出している。著者がジャーナリストであり、在英であるということがそうした流れを敏感に感じ取り、表現可能にしていると思われる。
 本書は2007年に発行され、すでに3年がたっている。その後ブラウン政権を経て、今年は労働党政権から保守・自民の連合政権へと交代した。本書が描かれてからさらにイギリスの教育界は大きく変化していると思われ、著者の次作にも期待したい。
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