この作品は、『ある日唐突に、24時間後に死ぬ事が宣告された人々とその周囲』
を描いた作品です。
そう言う意味では、感動ものの人情話と言えなくもありません。
しかし、作者がそれを描きたくて描いているのだとは考えにくいところがあります。
なぜなら、
その舞台を整えたいなら、『発症から24時間で死ぬ謎の奇病』で充分なのですから。
この作品の舞台には、我々の社会と異なる2つの特徴があります。
1つ目は、『24時間後に死ぬ』という状態が無差別にもたらされる事。
2つ目は、その死は政府の方針により行われ、『国家繁栄の為』を金科玉条として、その制度に疑義を呈する者は裁判なしで死刑になるという事。
単に24時間後に死ぬのであれば、前述の通り『病気』で充分であり、それを描きたいだけならば2つ目の特徴は全く不要なわけです。
更に言うならば、同じ政府方針によるものだとしても、『そうしなければ世界が危ない』とかそういう理由ではなく、国家繁栄の為、が理由なのです。
この異様さは巻を進めるごとに明確化し、特高警察みたいなのも出てきたかと思えば、この5巻に至ってはこの処刑制度を賛美しなければ死刑、という状況そのものを主題とした話が出てきます。
こうしてみると、作者の描きたいものは、『24時間以内に死ぬ人々の話』ではなく、『国家繁栄のために無辜の市民を監視し、処刑する社会に生きる人々の話』なんですね。
そういう話が好きな方にはお勧めしますが、
『サトラレ』のような『過酷な運命に生まれた人たちの葛藤と人情』を読みたい人たちにはお勧めしません。
この先に描かれそうな話を予想してみると、
『政府の高位高官の子弟だけは、死のカプセルが含まれていない注射しかされてない事が明らかになる』
とかそんな話が出てきそうですね。