面白くて分かりやすい。エピソードも豊富。フランスやドイツの黄禍論に、英国人が日本に代わって反論していたのも面白い。ドイツのヴィルフェルム皇帝、バクーニン、ピアソンと黄禍論との関係については類書もあるが、本書は詳しく丁寧にその特徴を明らかにしている。ロシアのニコライ皇帝が実はヴィルヘルムを嫌っていたとか、ラフカディオ・ハーンがピアソンを代弁していたとか、さりげなくハンチントンを批判したり(註で)と、エピソード的にも楽しめます。黄禍論によって生まれた日本例外主義が、今日でも日本人の行動様式や思考を支配しているとの主張は、現代の問題にも通じるものであり、考えさせられた。アジア主義に厳しいので減点したが、近代史の底流にある黄禍論を考えるには不可欠の書だと思います。