マルセル・ヤコブの追悼盤的な前作をやっと製作した彼らが、バンド継続のモチベーションをどう音に表現するか、それが私にとっての本作の評価ポイントだった。結論は5つ星。
まず、もともと、ここ2作ほどで、アンディ・マレツェクの存在を軽視するかのようなゲストリードギタリストの招聘をしていたが、本作は一切していない。つまり、リードギターは、全曲アンディである。これでこそ、このバンドの結成時のコンセプト「ミカエルとアンディの邂逅」がシッカリ原点に戻って復活した事を素直に喜びたい。
もう1つ。楽曲の出来が良く、しかも幅が広がっている。ポイントは、なんとミカエルがらみの曲は5つなのに対して、ジェイミー・ボーガー作の曲が6つ、とメインライターが交代、といえるほどの劇的な変化を内包しているのだ。明るく、ミッドテンポというジェイミーの作風も、バンド活動の中から得たミカエルのリリシズムを吸収して、平板さから脱却しているし、ジェイミーの存在感があるから、ミカエルの楽曲の狂おしいようなメロウさが際立つという見事なコントラストを見せる。
本作でもマイケル・ボルトンがAORシンガーになる前に放った「fool's game」カヴァーなど、外部から2曲を採用しているが、曲想の枯渇感はない。
毎年、コンスタントにアルバム製作を継続すること自体が本当に大変な事と思うが、ここまでの出来の作品を発表できるとは、この4人は本当の「バンド」として有機的に機能しているのだろう。それもファンとして嬉しい事だし、今後の更なる期待を持たせてくれる。