カトリックの団体であるオリエンス宗教研究所とプロテスタントを含めたキリスト教出版社・書店である教文館が共同で出版した福音書入門。
聖書の核心となる部分とその歴史的背景を、40章にわたって、中学生から大人までわかりやすく説いたうえで、その応用として、現代を生きる私たちへのメッセージと祈りを示しています。
原書はフランス語で、著者はフランスのカトリック聖書学者と司祭ですが、日本語版では、用語はプロテスタントの読者にも配慮して一部書き換えられており、カトリックとプロテスタントの聖職者による推薦の言葉も添えられています。この本にはまた、米国聖書協会が編集した英語版やスペイン語版もありましたが、現在は絶版、中古のみになっています。英語版ではまた、Novalisという、フランスにあるカトリックの出版社がカトリック向けに出したものもあります。
きれいな挿絵が魅力的です。文中にある聖書の本文は、カトリックとプロテスタントによる新共同訳(日本聖書協会刊)です。そして、時代背景についての解説とともに、内容をもっと深くほりさげるための設問や、イエスの時代のパレスチナやエルサレムの地図と、巻末に聖書用語集がついています。
しかも、世界的な視点に立って書かれています。
こういう本って、他にありそうで意外とないです(念のためこの本の出版社の一つである教文館に聞いて確かめましたが、「ない」と言われました)。聖書は初めてという人に、ぜひおすすめです。
ただ、あえて欠点を指摘するならば、福音書の4つめの書物である、ヨハネによる福音書に関する記述が少ないこと。それからもう一つ、「愛」や「永遠の命」についての説明が用語集にないことです。
これらについては、例えば日本聖書協会の『新約聖書 スタディ版』(
新約聖書 スタディ版 わかりやすい解説つき - 新共同訳)で補う必要があると思います。また、同じく日本聖書協会の『聖書 スタディ版』(
聖書 スタディ版 わかりやすい解説つき - 新共同訳 上製本(クロス装))をこの本とあわせて読むと、この本と旧新約聖書全体との関連などについて、さらに深く掘り下げて読むことができるのではないかと思います。