四福音書の中で最古とされる「マルコの福音書」をベースにイエスの生前の言葉の真意を考察することを主眼に、人間イエスに迫ろうとするアプローチの本。
著者は、ルカによる福音書やマタイによる福音書は初期教会の正統派(イエスの贖罪・復活を進行の中心とする)に都合のよい編集がなされており、「マルコ」は生前のイエスの言行により焦点を当て、かつ教会や弟子たちに批判的な視点を持っていると指摘する。その上で、イエスの教えは、ユダヤの律法の諸規則によって罪人とされ抑圧されていた人々を解放することに主眼があったと主張する。
評者には、聖書学の伝統の中で著者の主張がどのように位置づけられるのか、まだ理解できないが、正統派の考え方についても勉強した上で、再読してみたい本である。