洒落た雑貨屋をもつことを夢見るフリーターの和子が、たまたま目の合ったクマのあみぐるみにひかれて、買ってつれかえったところから話は始まります。
なんとあみぐるみには、殉職?したおじさん刑事の霊がついていて、事故として扱われた事件を洗いなおそうと、和子を雇いあげる。
アーユー・テディ? はもちろん、Are you ready? です。
この設定、ものすごく気に入って、読みはじめました。
ホストクラブの奇抜な面々が謎をとくシリーズでデビューした著者。今回も登場人物の作りこみにはそうとう力が入っています。和子の、むだにエコ好きの母、ヘビメタオタクの兄、おもに放屁で意志をあらわす無口な父。「ほっこり」系のお店を持ちたい和子には、幻滅することの多い家族です。
おじさん刑事天野の部下だった、若いエリート刑事が、和子の捜査に協力してくれますが、これまたUMAマニアの奇人で、いちいち和子の癇にさわったり。
バッグの中から、和子を叱咤する、父と同じように冴えない、けれど仕事ひとすじのクマの刑事が、なんともいい味です。(新井素子さんの『くますけと一緒に』をちょっと思い出します。)このクマは、彼の追っていた心中事件の、唯一生き残った子どものものでした。
和子をふくめて、きれいごとな人間はひとりも出てきませんが、それでいて、だれもがキラリ、といい面を見せます。若い刑事冬野が、いつもクマのあみぐるみに敬礼するところは、ぐっときますし・・・食品業界の裏取引をめぐる事件は、あみぐるみの犠牲の上に解決します。家族に頭をさげてお金を借り、生前、顧みられていなかった天野の妻と娘に、お父さんの遺志をさりげなくつたえる和子。
そして、ラスト・・
わたしはほんとうにうれしかったです。