関西で発行されていた「ロックマガジン」の編集長・阿木譲が作ったVanityレーベルから、1979年にリリースされたアーント・サリー(vo:phew)のファースト・アルバム。日本にも、フリクション、Mr.カイト、ミラーズ、リザード、イヌ、連続射殺魔、などの海外のパンク・ムーヴメントに影響を受けたバンドがそろそろ出現し始めた時代である。しかし、このアーント・サリーは数あるパンク系バンドの中でも異色のサウンドと言葉を持ったバンドだった。丸尾末広、宮西計三などのコミックや、江戸川乱歩、沼正三、イヨネスコ、ジュネ、バタイユ、鉄道自殺した某女性作家・・・などの文学を想起させる唯一無二のまさしく孤絶のサウンドであった。映画で言うと、ドイツ表現主義のモノクロの異形の映像が脳内に浮かんでくる。余談ながら、筆者はphewさんの通っていた某女子大の近くに住んでいたので、ロンドンやニューヨークのパンクロックを輸入盤で聴いていい気になっていた所へ、自分のすぐ近くから突然、喉元に研ぎ澄まされたナイフを突きつけられたような、冷水を頭から浴びせかけられたような迫力を感じたものだった。万人が気に入るサウンドでは絶対無いと思うが、上記のアーテイストが好きな人なら、きっとfavorite album になるだろう・・・。