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75 人中、69人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
他者を知るための必読書,
By 浪岡浩二 (東京都文京区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アーロン収容所―西欧ヒューマニズムの限界 (中公新書 (3)) (新書)
おそらく日本人は、そのほとんどが無意識のうちに、「人種差別は存在しない」と思っているだろう。南アフリカやアメリカでかつて行われていた人種差別は、世界でも特殊な部類だからこそ糾弾されたのだ、と。しかし実際はそうではない。特に、白人がアジアやアフリカの人間に対して抱く差別心は、現代に至ってもなお存在し続けている。では、その差別は、いったいどのようなものなのか。 著者はそれを、終戦後のビルマにおける収容所での捕虜としての生活を通じて、冷徹に、だが時にユーモアを交えて記している。また同時に、長い間被支配国であったアジアの人々の様子がどのようなものだったかについても、同じく的確に描写している。 名著は色あせないものだ。この作品も、発行から既に30年以上が経過しているが、太平洋戦争の経験者が少なくなった現代において、さらに輝きを増しているようにすら思える。
54 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
優れた人間観察の本,
By カスタマー
レビュー対象商品: アーロン収容所 (中公文庫) (文庫)
捕虜として受けた屈辱とイギリスへの憎しみがこの本執筆の動機になった、と著者は書いているが、読んでみると「イギリスの残忍さ」についての記述は多くはない。1/3が捕虜に対するイギリス兵の行動についての記述。 この本のよさは学者である著者が、あくまで冷静に客観的に事実を分析しているところである。国や民族についても善悪ではなく原因と結果を重視して考察しており、思いこみで書かれた左右の政治的な本とは距離がある。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日本人批判があるから冴える英国人批判,
By
レビュー対象商品: アーロン収容所 (中公文庫) (文庫)
ビルマ戦経験者の体験記は幾つか読んできたが、多くは限りなく自主出版のもので書き手の文章力や編集に難があり、陸軍の無謀な作戦や上官への恨み、亡くなった戦友への思いは伝わるものの、読みやすいものは案外少なかったことを覚えている。その点、この本は西洋ヒューマニズムの限界と集団としての日本人のダメなところを、一兵卒の体験を通して淡々と描いた名著だと言える。この本が警鐘を試みた、日本人に無意識的に植え付けられている白人コンプレックスと西欧ヒューマニズムを相対化することは、本当は本を読んだだけでは不可能であり、読者各々が体験を通してしか理解できないものだろう。だが、活字で理解できる範囲のことは、この文庫を通して僕らは十分感じることができると思う。 また、この著者の説得力は、西欧批判と日本人批判を並行して行っているところにある。会計上、在庫分を残したいという役人根性から戦地の物資配給を極限まで絞った挙句、降伏後は率先して英国軍に奉仕する主計部会計係。現地在留民間邦人まで徴兵して戦死を強要し、自分は飛行機で脱出した陸軍大将。ビルマ在留捕虜は手厚く扱っているという全く反対の英国情報を鵜呑みにする外務官僚と政治家(英国通の吉田茂!)。その間違った現地情報を報道するマスコミ。そして、戦後すぐ始まった国民あげての西欧礼賛。。 戦史を読んでいつも感じるのは、未だ変わらない「集団としての日本人」のダメなところだ。是非、続編も読んでみたい。
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